ニュースPickup 2024年11月16日を掲載しました。

2024年8月24日

シリーズ「給与計算のツボ」第6回 〜時間外手当の計算①〜

シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
リクエストがあればお問い合わせ(→こちら)にお書き下さい。

今回も前回に引き続き割増賃金について考えていきましょう。
割増賃金は労働基準法に基づき、法定労働時間を超えて労働した場合に、通常の賃金に一定割合を増額して支払う賃金のことです。

本稿では、変形労働時間制や週法定労働時間44時間の特例を適用する事業者を除いて考えることにします。

時間外労働

法定労働時間1日8時間、1週40時間と定められており、この時間を超えた労働は時間外労働となります。割増賃金は割増賃金基礎×時間外労働時間数×1.25以上を支払います。

ここでのポイントは1日8時間と1週40時間との関係で、仮に月曜日から金曜日まで各日10時間、合計50時間働いた場合に、各日2時間ずつの時間外で10時間、また週あたり50時間働くことになり、40時間超が10時間で、合計20時間の時間外手当を支払う必要があるかのように見えますが、実際には各日に支払った時間外手当は週ごとの40時間を超えた部分にカウントする必要がないので、上記の場合には合計10時間分の時間外手当となります。

また、所定労働時間が8時間よりも短い場合の、8時間を超えない時間外労働(所定内残業)については、上記割増賃金の支払いは必須ではありませんが、会社によって取り扱いが異なるので、就業規則等で確認する必要があります。

休日労働

労働基準法では、週1日の休日を法定休日と定めています。法定休日の労働に対しては割増賃金基礎×法定休日労働時間数×1.35以上を支払います。
法定休日には時間外労働という概念がないので、法定休日に8時間を超えて働いた場合にも1.35倍以上のままの支払いで大丈夫です。

休日には例えば土曜日など法定休日以外の休日もあります。これを所定休日と言います。これは平日と同じ扱いになるので、原則割増賃金を支払う必要はありませんが、8時間を超えた場合は時間外手当を支払う必要がありますし、週40時間のカウントにも含まれます。但し、所定休日の出勤も法定休日と同じ扱いにしていたり、労働時間全てに時間外手当相当額を支払うケースもありますので、所定内残業同様就業規則などで確認下さい。

先ほど1日8時間と1週40時間との関係や、法定休日の時間外のところに例外的な扱いを書きましたが、要するに「複数の時間外労働の場合には、重複して支払うのでなく、最も高い割増率で支払えば良い。」という原則を覚えておくと、迷ったときに便利かも知れません。但しこれにも例外があり、次回説明する深夜労働については、割増という考え方で二重に支払う必要がありますので、ご注意ください。

今週の振り返り
  • 時間外は1日8時間、1週40時間を超えた部分に1.25倍
  • 法定休日は1.35倍
  • 所定内残業、所定休日は就業規則などで取り扱いを確認
  • 複数の時間外労働の場合には、重複して支払うのでなく、最も高い割増率で支払えば良い

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!

厚生労働省
雇用政策研究会報告書の公表について
~多様な個人が置かれた状況に関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて~(8/23)

本報告書では、2040年の労働市場において、人口減少を背景とした労働供給制約が見込まれる中、

  • 多様な個人の労働参加の促進と経済成長の実現
  • 人手不足の類型に応じた適切な対応
  • 労働者に選ばれる職場づくり

といった観点から、

  1. 多様な個人の労働参加
  2. 新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
  3. 労働市場のインフラ整備等

という3つの柱のもとで、必要な施策の方向性がまとめられました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204414_00017.html

労働基準関係法制研究会 第11回資料(8/20)

議題:労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42461.html

人事労務マガジン特集第224号(8/21)
  1. 広報誌「厚生労働」8月号発売中
    特集:史料や記録がつなぐ援護行政の歴史 戦争を忘れない
  2. 職場の就業環境を見直してみませんか?いまどきの労務管理を学ぶ「就業環境整備改善支援セミナー」と、専門家による個別支援を実施
  3. 「個別労働紛争解決研修」を開催します 企業内での個別労働紛争の予防、適切な対処ができる人材の育成にお役立てください
  4. 「多様な正社員」制度の導入・改定をコンサルタントが無料でサポートします 他

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42571.html

ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保(労働分野における対応)に関するQ&Aを公表しました(8/20)

令和5年の第211回通常国会において成立した「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」において、ゲノム情報による不当な差別等への適切な対応の確保に関する条項が盛り込まれたこと等をふまえ、厚生労働省では、労働分野における不当な差別を防止するための対応として、Q&Aをとりまとめましたので、公表します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42269.html

労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)(8/23)

令和7年1月1日より、労働者死傷病報告のほか、以下の報告も電子申請が義務化されます。これらの報告にも、入力支援サービスをご活用ください。

  • 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
  • 定期健康診断結果報告
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
  • 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
  • 有機溶剤等健康診断結果報告
  • じん肺健康管理実施状況報告

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei_00002.html

働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省)
「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム」を9月19日(木)にオンラインで開催します(参加無料)(8/23)

企業において、従業員の健康管理やワーク・ライフ・バランスの確保は重要な課題です。
本シンポジウムでは、2019年4月から企業の努力義務となっている勤務間インターバル制度について、その重要性や企業が取り組むことによるメリット、取組を進めるためのポイント等について、先進事例とともに解説します。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/seminar/

総務省
2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)7月分(8/23)
  1. 総合指数は2020年を100として108.6
    前年同月比は2.8%の上昇
  2. 生鮮食品を除く総合指数は108.3
    前年同月比は2.7%の上昇
  3. 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は106.9
    前年同月比は1.9%の上昇

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei08_01000290.html

日本年金機構
日本年金機構からのお知らせ令和6年8月号(8/21)
  • 短時間労働者の適用拡大の対象事業所へのお知らせ等の送付
  • 社会保障協定等で日本の年金制度の被保険者とならない方の届出について
  • 国民年金第3号被保険者の被扶養配偶者非該当届の提出漏れはありませんか 他

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html

ITmedia ビジネスオンライン
PayPayはなぜ「デジタル給与払い」に参入したのか メリットとデメリットを分析(8/22)

スマホ決済サービスを展開するPayPay社が、デジタル給与払いサービスを開始した。なぜこの分野に参入したのか、メリットとデメリットは何か?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2408/21/news163.html