最低賃金1,500円!?
最近、このサイトでも頻繁に取り上げている最低賃金の話題ですが、今回は特に石破政権が掲げた政策に焦点を当ててみたいと思います。もともと岸田政権の時代に「2030年代前半までに最低賃金を1,500円に引き上げる」という目標を掲げていましたが、石破政権ではその目標を大幅に前倒しし、「2020年代中に全国平均で1,500円に到達させる」という意欲的な方針を示しました。政権成立直後の衆議院解散に伴う総選挙でも、自民党をはじめとする各政党が、そろって早期に最低賃金1,500円の実現を公約に掲げています。
以前、このサイトでは過去の最低賃金推移を分析しましたが、今回はこの1,500円という目標が持つ意味と、その影響について掘り下げてみたいと思います。
5年後に最低賃金1,500円に到達するためには?
仮に2029年までに全国平均で最低賃金1,500円を超えると仮定すると、毎年平均して7.25%の賃上げが必要となります。これは非常に高いペースです。しかし、現在の実際の労働市場では、最低賃金よりも高い賃金で働く労働者が大多数を占めているため、すべての労働者に直ちに同じ率での賃上げが必要というわけではありません。とはいえ、最低賃金を月給ベースで見た場合、そのインパクトは無視できません。
月給ベースで見る最低賃金の推移
例えば、月の労働時間を168時間(8時間×21日)と仮定して、月給ベースで計算すると、2024年現在の最低賃金に基づく月給は177,240円です。しかし、もし1,500円が実現すれば、2029年には252,168円に達します。これは単純に最低賃金であってもこの水準が必須ということであり、すでに働いている労働者の賃金がこの金額に追いつかれないためには、企業はさらなる賃上げを行う必要が出てくるでしょう。
経営者にとっての課題
この大幅な賃金上昇は、特に中小企業にとっては重大な経営課題となる可能性があります。賃金コストの増加を吸収するためには、単に価格を上げるだけではなく、生産性の向上が必須です。例えば、自動化の導入や従業員のスキルアップを通じて効率を上げることが、企業の競争力維持の鍵となるでしょう。
1,500円という最低賃金が現実のものになるかどうかは、まだ確定していません。しかし、経済環境の変化や政策の進展に備えて、企業は今から対応策を講じておくことが重要です。経済や政策の動向に備えるためにも、従業員のスキルアップや新しい技術の導入を通じて、将来に向けた持続可能な経営を目指すべきです。
当事務所では、この最低賃金の引き上げに関する動向を引き続き注視し、企業の皆様が適切に対応できるようサポートしてまいります。
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
日本年金機構
令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります(10/18)
令和6年12月2日以降、「被保険者資格取得届」および「被扶養者(異動)届」に「資格確認書発行要否」欄を新たに設けますので、新たに被保険者や被扶養者になる方が資格確認書を必要とする場合は、届書の「□発行が必要」にチェックを入れてください。届出内容に基づき、協会けんぽから資格確認書が発行されます。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202410/1018.html
愛知県
テレワークセミナー(第7回・第8回) の参加者を募集します!(10/16)
愛知県では、「あいちテレワークサポートセンター」(名古屋市中村区)において、県内中小企業のテレワーク導入・定着に向けて、総合的な支援を行っています。その一環として、県内企業にお勤めの方や求職中の方を対象に、テレワークで就業するために身につけたいスキルを学べる「テレワークセミナー(第7回・第8回)」をオンライン併用で開催します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/telework-seminar2024-4.html
経団連
上場企業役員ジェンダー・バランスに関する経団連会員企業調査結果(2024年版)(10/16)
- 調査概要
- 経団連会員企業とプライム市場、上場企業・政府目標との比較
- 女性役員の内訳等
- 今後の課題と経団連の取組み
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/069.html
週刊経団連タイムス2024年10月17日 No.3655(10/17)
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2024/#d20241017
厚生労働省
人事労務マガジン特集第226号(10/16)
- 広報誌「厚生労働」10月号発売中
特集:意思表示で生き方を考える 命や思いを大切につなぐ移植という方法 - 事業主の皆さまへ 「労働保険料等の口座振替納付」にインターネット専業銀行が追加されました
- 11 月は過労死等防止啓発月間です 全国で「過労死等防止対策推進シンポジウム」、「過重労働解消のためのセミナー」を開催します 他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44252.html
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」の改定について(10/18)
令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行されることから、令和3年3月26日に内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省が策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」について、本法の施行に伴って構成を整理するとともに、本法及び本法の関係政令等の内容を追記するなどの形式的な改定を行いましたので、公表します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44371.html
総務省
2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)9月分(10/18)
- 総合指数は2020年を100として108.9
前年同月比は2.5%の上昇 - 生鮮食品を除く総合指数は108.2
前年同月比は2.4%の上昇 - 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.5
前年同月比は2.1%の上昇
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei08_01000294.html
愛知県
名古屋市消費者物価指数(2024年9月分)(10/18)
- 総合指数(令和2年(2020年)=100)は109.3となり、前年同月比3.0%の上昇。
- 生鮮食品を除く総合指数は108.5となり、前年同月比2.8%の上昇。
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.9となり、前年同月比2.4%の上昇。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toukei/bukka.html
労務ドットコム
今後より重要視される厳格な労働時間管理と賃金支払い(10/16)
労働時間の端数を切り捨てることは原則認められておらず、いわゆる1分単位での賃金の支払いが必要とされているところです。厚生労働省は「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」というリーフレットを作成、周知活動を強化しています。
https://roumu.com/archives/124576.html