ニュースPickup 2024年11月23日を掲載しました。

2024年11月23日

シリーズ「給与計算のツボ」第13回 〜年次有給休暇あれこれ③〜
一斉有給休暇について(有給休暇の計画的付与)

シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
リクエストがあればお問い合わせ(→こちら)にお書き下さい。

今回は一斉有給休暇について取り上げたいと思います。
一斉有給休暇は給与計算の話題から少し外れますが、労務管理上重要でメリットも多い施策ですので、ポイントを共有しておきましょう。

※本稿での「一斉有給休暇」は、会社で決まった日に従業員全員に有給休暇を取得させる計画的付与の事を表しています。有給休暇の斉一的付与とは違いますので、ご注意下さい。

いわゆる一斉有給休暇は、有給休暇の計画的付与の一つの方法ですが、それでは有給休暇の計画的付与とはどんなものでしょうか?

有給休暇の計画的付与の概要

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。
少なくとも5日分は従業員が自由に取得できるよう確保することが義務付けられており、それ以外の部分を計画的付与として設定することができます。

有給休暇の計画的付与には、次の様な方法があります。

  1. 企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法
  2. 班・グループ別の交替制付与方法
  3. 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法

これらのいずれかを採用しても良いですし、併用することも可能です。
一斉有給休暇の場合は上記1.の方法に当たります。

計画的付与を実施するためには、就業規則への規定事前に労使協定を締結する必要があります。労使協定では以下の内容を明確に定めることが求められます。

  1. 計画的付与の対象者
  2. 対象となる年次有給休暇の日数
  3. 計画的付与の具体的な方法
  4. 年次有給休暇の付与日数が少ない者の扱い
  5. 計画的付与日の変更

一斉有給休暇のメリット

計画的付与を活用した全社一斉休暇の設定は、多くの企業で採用されています。たとえば、年末年始や夏季休暇の時期に、全従業員に計画的に有給休暇を取得させることで、次のようなメリットを享受できます。

  1. スケジュール調整の簡略化
    繁忙期や閑散期を考慮し、休暇スケジュールを一括管理できるため、調整がスムーズになります。
  2. 運用の公平性
    全従業員が同じタイミングで休暇を取得することで、不公平感が軽減されます。
  3. 業務効率の向上
    休暇期間を統一することで、特定の業務が滞るリスクを軽減し、効率的な運用が可能になります。
  4. 法対応の容易化
    労働基準法で義務付けられている年5日の有給休暇取得を、一斉有給休暇の一部として計画的付与することで、簡単かつ確実にクリアできます。

注意すべきポイント

計画的付与を運用する際には、有給休暇がない従業員への対応を考えておく必要があります。
例えば入社6ヶ月未満の従業員は有給休暇が付与されていませんので、一斉有給日に有給休暇を取得することができません。その場合には、

  1. 特別休暇として年次有給休暇とは別に有給休暇を与える。
  2. 会社理由による休業として取扱い、平均賃金の60%以上を支払う

のいずれかの対策をとる必要があります。
仮に入社6ヶ月経過後であっても、5日間は従業員の自由に有給休暇を取ってもらう必要がありますので、一斉有給を6日、7日とかに設定してしまうと、上記と同様の措置が必要になります。
また、週の所定労働時間が30時間未満でかつ週の所定労働日数が4日以下の従業員は、比例付与の対象になり、有給取得日数が少なくなりますので、同様の対応が必要となります。

まとめ

計画的付与は、企業の業務効率化と従業員の有給休暇取得促進を両立させる仕組みです。しかし、その運用には事前準備や労使協定の締結、適切な管理体制の整備が不可欠です。会社全体の休暇運用を見直し、計画的付与を有効に活用することで、従業員の満足度向上と業務効率化を実現しましょう。

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!

日本年金機構
「日本年金機構からのお知らせ」令和6年11月号(11/21)
  • 〜協会けんぽ管掌事業所のご担当者さまへ 〜令和6年12月2日以降の資格確認書の発行
  • 賞与支払届の手続きには、「電子申請」をご利用ください 他

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html

国民年金保険料を納付していない期間がある方にお知らせをお送りします(11/22)

国民年金保険料を納付していない期間がある方に、お知らせをお送りします。
お知らせが届いた時点でまだ国民年金保険料を納付していない場合は、お手元の納付書により速やかに納付してください。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202411/1122.html

ITmedia ビジネスオンライン
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」(11/18)

部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2411/18/news058.html

ジョブ型雇用、なぜ根付かない? 制度が形骸化するワケ(11/22)

ジョブ型雇用への期待が高まる一方で、実際に新しい制度の運用を定着させることは簡単ではないようだ。ジョブ型雇用をうまく機能させるためには、制度刷新だけでなく企業文化そのものを作り変える必要があると筆者は指摘する。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2411/22/news089.html

厚生労働省
改正育児・介護休業法に係るQ&Aが修正されました(11/20)

修正ポイント

  • 施行日における「個別の周知・意向確認」の対象となる子の範囲
  • 介護離職防止のための個別の周知・意向確認について

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001325224.pdf

人事労務マガジン特集第227号(11/20)
  1. 広報誌「厚生労働」11月号発売中
  2. 11月は「過労死等防止啓発月間」です
  3. 12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です
  4. 「グッドキャリア企業アワード 2024」受賞企業を決定しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45543.html

毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果確報(11/22)
  • 現金給与総額は291,712円(2.5%増)となった。うち一般労働者が373,250円(2.6%増)、パートタイム労働者が107,607円(2.5%増)となり、パートタイム労働者比率が30.72%(0.23ポイント上昇)となった。なお、一般労働者の所定内給与は334,495円(2.7%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,350円(4.7%増)となった。
  • 共通事業所による現金給与総額は2.9%増となった。うち一般労働者が3.0%増、パートタイム労働者が2.0%増となった。
  • 就業形態計の所定外労働時間は9.9時間(3.0%減)となった。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2409r/2409r.html

愛知県
2024年度 第2回労働講座の受講者を募集します!(11/22)

テーマ ~外国人とともに働くために~
(雇用する際の注意点、雇用時の労務管理等のポイント解説)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/rodokoza061223.html

日本商工会議所
「年金制度改革に関する提言」を公表(11/21)

日本商工会議所は、東京商工会議所(ともに小林健会頭)と連名で標記提言を取りまとめ、11月21日に公表しましたので、お知らせします。
https://www.jcci.or.jp/news/news/2024/1121210000.html

株式会社日本総合研究所
企業における仕事と介護の両立支援セミナー ~経営視点で見る実践事例とその重要性~(11/22)

経済産業省は、令和6年3月に「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を公表し、同問題の解決策である仕事と介護の両立支援推進を図っています。現在当該事業の事務局を日本総合研究所に委託しています。
この度、同事業の一環として仕事と介護の両立支援のポイントや先行事例をご紹介させていただくセミナーを開催いたしますので、ご案内いたします。
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=108789