リファラル採用の効果と制度設計のポイント
企業の人手不足が慢性的になっています。そんな中で人材確保の一つの手段として、社員の知人・友人を紹介してもらう「リファラル採用」が急速に広がっています。
商工中金による2024年の調査では、46.4%の企業がリファラル採用を実施し、最も人材の定着に役立った募集方法(35.9%)であると、高い効果を実感している様子がうかがえます。
採用コストを押さえられる点や採用後のミスマッチ防止などの実効性が評価され、多くの企業で活用が進む一方、その運用には注意も必要です。
【リファラル採用の主なメリット】
- 入社後のミスマッチを防ぎ、定着率が向上しやすい
- 求人広告費・紹介料など採用コストを抑えられる
- 選考プロセスを短縮でき、採用のスピードが上がる
【よくある課題】
- 紹介が一部社員に偏り、制度が十分に機能しない
- 同質性が高まり、多様性が損なわれる可能性
- 社内周知不足により、制度が浸透しにくい
特に注意したいのが、紹介してくれた社員へのインセンティブ(報酬)の扱いです。運用を誤ると、社員の紹介行為が業としての人材紹介とみなされ、職業安定法に抵触する恐れがあります。例えば、
- 報酬が高額すぎる
- 紹介がノルマ化・業務化している
- 社員がSNS等で広く募集を行う
といったケースは、無許可の有料職業紹介とみなされるリスクがあります。
紹介はあくまで「社員の自然な人間関係の範囲での任意行為」であり、反復継続して行わせないことが重要です。
そのうえで、社員に支払うインセンティブは「リファラル手当」として賃金扱いにしておくことが、法的リスクを避ける最大のポイントです。職業安定法では本来、求人者が求職者を紹介した者に報酬を支払うことは禁止されていますが、「賃金・給料その他これらに準ずるもの」であれば例外として扱われます。つまり、就業規則や給与規程に手当の支給条件・金額・支給タイミングを明記し、源泉徴収を行い、通常の賃金として透明性あるかたちで支給すれば問題は生じないと言えるでしょう。
リファラル採用は、社員が「自分の会社を人に紹介したい」と思える環境があってこそ機能します。制度として整備しつつも、社員に過度な負担や圧力をかけず、紹介文化を自然に育てていくことが、これからの企業に求められるバランスと言えるのではないでしょうか?
参考:商工中金|中小企業の人材確保に関する調査(2024年1月)https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202401.pdf
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
厚生労働省|12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です(11/26)
職場のハラスメント防止を目的に、厚生労働省は12月を「職場のハラスメント撲滅月間」とし、集中的な啓発を行います。オンラインで「ハラスメント対策シンポジウム」を開催し、法制度の最新情報や企業の実践事例が紹介されます。改正法への対応が求められる中、企業としての取り組み強化が期待されます。
🔎今週の視点
ハラスメント対策の重要性については理解しているつもりでも、何から手をつけて良いのかがわかりづらく、対策が後手に回り、大ごとになってから慌てることになりかねません。シンポジウムでのリアルな取り組み事例を参考に、対応への取り組みのきっかけとするのも良いかもしれませんね。
出典:厚生労働省|12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です(11/26)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66244.html
愛知県|県内大学・短期大学の2026年3月卒業予定者の就職内定率(10月末現在)は78.4% ~前年10月末と比べて0.2ポイント低下~(11/27)
愛知県は、2026年3月卒業予定者の就職内定率が10月末時点で78.4%だったと公表しました。前年同月より0.2ポイント低下したものの、高い水準で推移しています。企業規模別では中小企業の採用意欲も引き続き強い状況が見られます。
🔎今週の視点
就職内定率の推移を見てみると、近年と同程度の最終内定率であった2007年の10月末の内定率が64.3%。この数字から内定のタイミングが早まっているのが明らかです。インターンの受け入れや採用広報の見直しなど、早期のアプローチがますます重要になりそうですね。
出典:愛知県|県内大学・短期大学の2026年3月卒業予定者の就職内定率(10月末現在)は78.4% ~前年10月末と比べて0.2ポイント低下~(11/27)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/j-2025-naiteiritsu20251127.html
経団連|ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査結果(11/27)
経団連は、裁量労働制について企業のニーズや課題をまとめた調査結果を公表しました。導入を希望する理由として「業務効率化」や「柔軟な働き方の実現」が挙げられる一方、適正な労働時間管理や対象業務の判断の難しさを課題とする企業も多い結果となりました。
🔎今週の視点
裁量労働制は「柔軟な働き方の実現」というメリットがあるものの、業務内容が限られており、まだまだ一般的な議論にはなっていないのが現状ですが、高市内閣で裁量労働制の枠を拡げる議論が始まるなど、今後の動向には注意が必要ですね。
出典:経団連|ホワイトカラー労働者の裁量労働制適用ニーズ等に関する調査(11/27)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/081.pdf
弁護士ドットコムニュース|理研の大量雇い止めは何だったのか 和解した研究者が明かす裁判の舞台裏と「10年ルール」の実態(11/26)
理化学研究所で行われた大量雇い止めをめぐり、和解した研究者が裁判の経緯や背景を語った記事です。研究職の契約が「最長10年」で打ち切られる制度運用の問題点や、研究現場の不安定さが改めて浮き彫りになっています。
🔎今週の視点
雇用期間の上限設定は、研究職に限らず多くの企業で課題になることがあります。期間満了時の説明不足はトラブルにつながりやすいため、更新基準や判断プロセスを日頃から透明にしておくことが、従業員との信頼関係づくりには欠かせないですね。
出典:弁護士ドットコムニュース|理研の大量雇い止めは何だったのか 和解した研究者が明かす裁判の舞台裏と「10年ルール」の実態(11/26)
https://www.bengo4.com/c_5/n_19674/
ITmedia ビジネスオンライン|【徹底解説】「103万円の壁」は本当に消えたのか? 税制・社会保険・手当の“複雑すぎる実情”(11/26)
「年収103万円の壁」をテーマに、税制・社会保険・手当の仕組みを横断的に整理した記事です。制度は改善が進んでいるものの、手当や扶養の違いなど複雑さは依然として残り、働き方を迷う人も多い実情が紹介されています。
🔎今週の視点
年収の壁は制度そのものより「分かりにくさ」が最大の問題ではないでしょうか。従業員からの質問も増えやすいため、整理して理解しておく必要がありそうですね。
出典:ITmedia ビジネスオンライン|【徹底解説】「103万円の壁」は本当に消えたのか? 税制・社会保険・手当の“複雑すぎる実情”(11/26)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2511/26/news024.html

