ニュースPickup 2024年4月27日を掲載しました。

2024年3月16日

現物給与価額

今週は日本年金機構より4月からの現物給与価額(食事)の改正がアナウンスされています(下記記事参照)。
現物給与とは、通常通貨で支払われる給与の一部を「現物」で支払うことで、例としては通勤定期代、通勤時のガソリンチケット、食事、家賃補助などがあります。
現金で支払う代わりに現物で支払うわけですから、賃金としての源泉所得税と社会保険料の基礎となる標準報酬額のことが問題になります。
一方で福利厚生としての位置付けもあり、その線引きを把握することが重要になりますね。

今回は食事の現物給与について考えてみましょう。

まず国税庁が出している基準によると、

役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。

  1. 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
  2. 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
    (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。

となります。
例えば1食あたり450円の仕出し弁当を昼食として従業員に提供し、給与から300円を控除したとすると、従業員が半分以上を負担しているので上記1の要件を満たします。また、仮に20日提供したとすると、(食事額:450円×20日=9,000円)-(自己負担額:300円×20日=6,000円)=3,000円となりますので、課税されません。
給与から250円を控除したとすると、(食事額:450円×20日=9,000円)-(自己負担額:250円×20日=5,000円)=4,000円となり、2の要件を満たしていないので、4,000円が課税されるという訳です。

社会保険に関しては、厚生労働省や日本年金機構から出されている、現物給与価額を基準に報酬月額に算入する必要があります。
例えば令和6年度の愛知県の場合、昼食のみの額が260円ですので、上記の例で20日提供したとすると、算入すべき現物給与価額は260円×20日=5,200円となります。ただし、自己負担額が現物給与価額の2/3以上、この場合は260×2/3=173.3333.. すなわち174円以上の場合は算入する必要がありません。したがって上記の例ではいずれも参入する必要はないということになります。
また、自己負担額が2/3未満の場合は現物給与価額から自己負担分を引いた金額分だけ算入することになります。

なお、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されますので、注意が必要です。

このように福利厚生として食事の補助をする際には、自己負担金額によって税金や社会保険料に影響が出ますので、よく検討する必要があります。

国税庁:食事を支給したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm
電車・バス通勤者の通勤手当
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm
マイカー・自転車通勤者の通勤手当
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
使用人に社宅や寮などを貸したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!

日本年金機構
令和6年4月1日より現物給与価額(食事)が改正されます(3/15)

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202403/0315.html

経済産業省
第4回「アトツギ甲子園」の受賞者を決定しました(3/8)

経済産業省は、全国の中小企業の後継者・後継者候補(アトツギ)が既存の経営資源を活かした新規事業アイデアを競うピッチイベント「アトツギ甲子園」の第4回決勝大会を開催し、決勝大会に出場したファイナリスト15名に対する最終審査を経て、経済産業大臣賞、中小企業庁長官賞、優秀賞を決定いたしました。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240308007/20240308007.html

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の授賞式を開催します(3/13)

中小企業庁は、経済社会構造の変化に対応して事業変革や新規事業に挑戦し、地域経済や日本経済の成長への貢献が期待できるモデルとなる中小企業を、「事業再構築・生産性向上」、「海外展開」、「GX」、「DX」、「人への投資・環境整備」の5つの分野で優れた取組を行っている中小企業を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として選定し、3月14日(木曜日)に授賞式を開催します。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240313001/20240313001.html

厚生労働省
令和6年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します
~学生アルバイトのトラブル防止のために~(3/8)

厚生労働省では、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38382.html

労働基準関係法制研究会 第4回資料(3/15)

議題:労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38727.html
※労使コミュニケーション、従業員代表の位置付け等についての議論がされています。

日本商工会議所
「中堅・中小成長投資補助金」1次公募受け付け中(経産省)(3/13)

経済産業省は3月6日、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」の1次公募(事務局:中堅・中小成長投資補助金事務局)を開始した。同補助金は、中堅・中小企業が人手不足などの課題に対応し、労働生産性の向上と事業拡大を図るために行う工場などの拠点新設や大規模な設備投資に対して補助するもの。地域の雇用を支える中堅・中小企業の持続的な賃上げの実現を目的としている。
https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2024/0313112835.html

法人版事業承継税制の周知チラシ【第三弾】(「え!?贈与税・相続税の負担ゼロはイマだけ!?」経営の承継はアナタが決める!事業承継税制の特例がある今こそ対策を!)を公表(3/15)

同税制は、商工会議所の政策提言活動により、平成30年度税制改正で抜本拡充(特例措置の創設)され、令和6年度税制改正において、特例措置を活用するための事前エントリーの期限が2年延長(2026年3月末まで)された。特例措置のエントリー件数はこれまでに約15,000件と、中小企業の経営者・後継者による活用が進むものの、要件を満たせば贈与税・相続税を「全額免除」する異例の制度であることから、その適用期限は2027年12月末までの期間限定となっている。
https://www.jcci.or.jp/news/2024/0315104325.html

全国社会保険労務士会連合会
2023年度政策提言・宣言(3/6)

連合会は、2024年3月6日、労働・社会保障制度及び人事労務の専門家である社労士の視点に基づく提言として、2023年度政策提言・宣言「人を大切にする企業と社会の実現に向けて」を公表しました。
提言の取りまとめにあたっては、全国の社労士から広く意見募集を行っており、本年度は新たに11項目の提言を追加し、柔軟な働き方の推進を阻害している法制度や、現場で不公平・非効率な運用を生んでいる法規制の改善提案を中心に、28項目の提言を取りまとめました。
https://www.shakaihokenroumushi.jp/tabid/891/Default.aspx

愛知県
【2024年度】革新事業創造事業費補助金の受付を開始します(3/14)

愛知県は、民間提案を起点として、社会課題の解決と地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指す「革新事業創造戦略」(2022年12月策定)に基づき、産学官金の多様な主体からイノベーション創出に向けた提案を受け付ける「革新事業創造提案プラットフォーム(愛称:A-IDEA(アイディア))」を運用しています。
この度、2024年3月14日(木曜日)から2024年度分の補助金に関連する手続の受付を開始します。革新的なアイディアをお持ちの方をお待ちしています。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/kakushinhojo2024.html