ニュースPickup 2024年11月16日を掲載しました。

2024年7月20日

シリーズ「給与計算のツボ」第3回 〜「所定労働時間」とは〜

シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
リクエストがあればお問い合わせ(→こちら)にお書き下さい。

今回は所定労働時間についてお話しします。所定労働時間を知ることで、時間外労働との線引きが明確になり、また時間外労働をした時の割増賃金の決め方が明確になります。しっかりと押さえておきましょう。

所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書などで定められた、休憩時間を除く始業時刻から終業時刻までの時間のことです。
よく1日8時間労働というのを見かけますが、これは実際に働くべき時間で、休憩時間が含まれていないことに注意が必要です。
したがって、例えば「始業9時〜終業18時、休憩12時〜13時」の場合も「始業8時〜終業18時、休憩10時〜10時半、12時〜13時、15時〜15時半」の場合も、所定労働時間は8時間になるということです。

一方法定労働時間というものもあります。これは労働基準法で定められた1日8時間、週40時間の労働時間の上限のことであり、所定労働時間は法定労働時間を超えて設定することはできません
法定労働時間は、8時間という1日当たりの上限の他に、週40時間という上限も設定されています。週休2日制の場合は8時間×週5日でピッタリなのですが、週休1日制の場合には、仮に8時間×6日とすると40時間を超え違法となってしまいますので、6日間合計で40時間以内に収める必要があります。もちろん所定労働時間は曜日によって異なっていても構いません。

法定外労働時間は上記を超える労働時間で、労働基準法では原則法定労働時間を超えることができないのですが、時間外・休日労働に関する協定(36協定)を締結し、届け出ることで、一定の範囲内で働かせる事ができます。その代わり、この部分については割増賃金の支払いが必要となるわけです。

では仮に所定労働時間が7時間で、それを超えて法定労働時間(8時間)の範囲で残業をした場合はどうなるのでしょう?
この部分を所定外労働時間法定内残業時間とも言います)と言い、労働基準法で定められた範囲内ですので、割増賃金を支払う必要はありません。ただ、給与計算の煩雑さを避けるために所定外労働時間も法定外労働時間と同様の割増賃金を支払うケースも数多く見られます(もちろん法を超える賃金の支払いなので、問題ありません)。

次回以降にお伝えする予定の、割増賃金(時間外労働に関する割増)の計算をするにあたっては、その1時間当たりの単価(時間単価)を求めるために、今回の所定労働時間が必要になります。
割増賃金を求めるための時間単価は、月給の場合、基本給などを月当たりの所定労働時間で割って求めることになります。ただこの方法だと、月によって所定労働時間が変わり、賃金計算上煩雑になるので、1年間の総労働日数から月平均の所定労働日数を求め、そこから更に平均所定労働時間を算出することが一般的です。

これは、

月当たり平均所定労働時間=年間労働日数÷12×1日当たり所定労働時間数

で求められます。
仮に年間労働日数が245日、1日当たり所定労働時間が8時間だとすると、月当たり平均所定労働時間は、245÷12×8=163.3333333…時間となります。

閏年で年間日数が変わる場合、労働日数が変わらず、休日が増える場合には月当たり平均所定労働時間は変わりませんが、労働日数が増える場合には月当たり平均所定労働時間が変わってきますので、注意が必要です。

色々な労働時間が出てきて紛らわしいのですが、これらを正しく理解することは、給与計算の仕組みを理解し、ミスを防ぐ上でとても重要です。

今週の振り返り
  • 所定労働時間に休憩時間は含まれない
  • 法定労働時間を超える事ができないので注意
  • 所定労働時間は割増賃金の基礎を出す上で重要
  • 閏年に注意

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!

e-Gov電子申請
システム切替作業に伴うe-Govの全サービス停止のお知らせ(2024年8月9日(金)19時00分~2024年8月13日(火)08時00分)(7/12)

延期していたe-Govの新システムへの切替作業については、2024年8月中旬を目途に実施いたします。これに伴い、以下のとおりe-Govにおける全てのサービス提供を停止いたしますので、大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
https://www.e-gov.go.jp/news/2024-07-12t1551310900_871.html

経団連
2024年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)(7/12)

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/051.pdf

弁護士ドットコムニュース
「連れ立ってランチに行かないで」会社からの指示が実は違法ってホント? 弁護士に聞いてみた(7/19)

順番に昼休みを取るよう伝えたらパワハラ扱いされてしまった──こんなXでの投稿が話題になっています。金融機関で働いているという投稿者が就業中、女性社員3人が連れ立ってランチに出てしまい、電話や来客に対応してくれる人が不在だったことに気づいたそうです。
そこで、「一斉にランチに行くんじゃなくて順番で昼休みを取るような工夫して」と伝えたところ、「『パワハラ事案について』というメールを本部に送られてしまった」といいます。
https://www.bengo4.com/c_5/n_17769/

ITmedia ビジネスオンライン
退職代行サービスから「もう出勤しません」 就業ルール違反だが、会社は“拒否”できる?(7/19)

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2407/19/news053.html

厚生労働省
人事労務マガジン特集第223号(7/17)
  1. 広報誌「厚生労働」7月号発売中
    特集: 「働く高年齢者」の安全と健康を確保する
  2. 「配偶者手当と賃金制度の見直しセミナー」を開催します
  3. コンサルタントとともに、わかりやすい求人票を作ってみませんか? 希望企業を募集中
  4. 令和6年度「生涯現役地域づくり環境整備事業」の新規実施団体を追加募集します

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41285.html

労働基準関係法制研究会 第9回資料(7/18)

【議題】
労働基準法における「事業」、労使コミュニケーションについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41590.html

第10回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(7/18)
  • 現行の女性活躍推進法を巡る現状と対応の方向性
  • 女性活躍と月経、不妊治療、更年期等の課題
  • ハラスメントの現状と対応の方向性

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41600.html

愛知県
男性育児休業取得促進 普及啓発セミナー (第1回~第3回)の参加者を募集します!(7/17)

男性の育児休業の取得を後押しする改正育児・介護休業法が2023年4月に全面施行され、2025年にも更なる法改正が予定されており、企業には女性だけでなく男性も育児休業を取得しやすい職場環境の整備など、働き方の見直しが求められています。​
そこで、愛知県では、法改正のポイントや企業に求められる取組について解説する講座とワークショップ(意見交換会)を組み合わせた普及啓発セミナーをオンライン併用で年3回開催します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/kosodate-seminar2024.html

日本年金機構
「日本年金機構からのお知らせ」7月号(7/19)
  • 納入告知書の送付スケジュールおよびオンライン事業所年金情報サービスの利用について
  • 令和6年10月からの短時間労働者の適用拡大に向けてお早めに準備をお願いします
  • キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html