シリーズ「給与計算のツボ」第8回 〜時間外手当の計算③〜
シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
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今回は前回予告したように、具体例を解きながら少し複雑な割増賃金計算について考えてみましょう。
すぐに答えを見るのでなく、一旦ご自身で考えてみて下さい。前回、前々回の記事も併せて参照されると良いかも知れません。
なお、本稿では所定労働時間は8時間、法定休日は日曜日としています。また変形労働時間制や週法定労働時間44時間の特例を適用する事業者について考慮していません。
では、早速解いて行きましょう。
【問1】
平日16時から翌1時まで勤務(休憩20時〜21時)した場合
【答1】
実労働時間が8時間(所定内)なので、時間外手当は不要です。22時より翌1時までの3時間につき、深夜割増手当25%を追加で支払います。
時間外手当:不要
深夜割増:3時間
【問2】
平日16時から翌2時まで勤務(休憩20時〜21時)した場合
【答2】
実労働時間が9時間なので、1時間の時間外手当を支払います。更に22時より翌2時までの4時間につき、深夜割増手当25%を追加で支払います。
時間外手当:1時間
深夜割増:4時間
【問3】
土曜日16時から翌2時まで勤務(休憩20〜21時)した場合
【答3】
勤務が法定休日にまたがる場合は、0時より法定休日の割り増しが必要となります。このケースだと実労働時間9時間のうち、24時までの7時間は時間外手当不要、翌0時から2時までの2時間につき法定休日手当を支払います。更に22時より翌2時までの4時間につき、深夜割増手当25%を追加で支払います。
問2では1時間の時間外手当を支払っていましたが、法定休日手当を支払った時間については時間外手当の支払いは不要ですので、ここでは時間外手当の支払いは不要となります。前々回「給与計算のツボ」第6回 〜時間外手当の計算①〜で書いたように「複数の時間外労働の場合には、重複して支払うのでなく、最も高い割増率で支払えば良い。」という原則が当てはまりますね。
時間外手当:不要
法定休日手当:2時間
深夜割増:4時間
【問4】
日曜日16時から翌2時まで勤務(休憩20〜21時)した場合
【答4】
問3と逆のケースですね。この場合16時より24時までの7時間は法定休日手当を支払います。さて問題はここからです。翌0時から2時までは平日ですから、時間外手当の支払いは不要と考えてしまいがちですが、実労働時間9時間ですので、午前0時から1時までは割り増し不要ですが、午前1時に8時間を超えますので、そこから午前2時までの1時間分は時間外手当を支払う必要があります。
時間外手当の発生する起点は、前回日を跨ぐ勤務の割増賃金の計算で書いたように、前日の開始時刻すなわち16時ということになりますので、お間違えなく。
更に22時より翌2時までの4時間につき、深夜割増手当25%を追加で支払います。
時間外手当:1時間
法定休日手当:7時間
深夜割増:4時間
【問5】
日曜日14時から翌2時まで勤務(休憩20〜21時)した場合
【答5】
問4との違いは開始時刻だけですね。上記同様14時より24時までの9時間は法定休日手当を支払います。このケースでは日を跨いだ段階で既に労働時間が8時間を超えています。したがって翌0時より2時までの2時間分につき時間外手当を支払います。労働時間が8時間を超える23時からではないことは、ここでも『最も高い割増率』の原則が生きています。
もちろん22時より翌2時までの4時間については、深夜割増手当25%を追加で支払います。
時間外手当:2時間
法定休日手当:9時間
深夜割増:4時間
いかがでしたか?複雑な時間外計算も、分解して考えればそれほど難しくないですよね?あとはいろいろ試して慣れるのが1番の早道かも知れませんね。
それでは、今週のニュースPickupをどうぞ!
ITmedia ビジネスオンライン
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人的資本の情報開示で「選考の参加優先度が向上する」求職者は44.5%──。そのような結果が、リクルートの調査で明らかになった。どのような情報が開示されると志望度が上がるのか。
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タイミーの登録ワーカー数が900万人突破 スポットワークをする理由は?(9/12)
タイミーは9月9日、提供するスキマバイトサービス「タイミー」の登録ワーカー数が累計900万人を達成したと発表した。2月から約半年で200万人の増加となった。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2409/12/news090.html
全国健康保険協会
すべての加入者様に対し資格情報のお知らせと加入者情報を送付します(9/9)
すべての加入者様に対し、安心してマイナ保険証をご利用いただくとともに、加入者様ご自身の健康保険の資格情報を簡易に把握して、円滑な健康保険の諸手続きを行っていただくため、「資格情報のお知らせ及び加入者情報(マイナンバーの下4桁)」を令和6年9月より順次送付しています。
加入者の皆様におかれましては、安心してマイナ保険証をご利用いただくためにも、マイナンバーの確認や提出にご協力をお願いします。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/shikakujyouhouhassou/
厚生労働省
令和6年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業が決定しました
~厚生労働大臣表彰最優秀賞・株式会社植松建設(佐賀県鹿島市)はじめ 入賞企業を10月4日(金)に表彰~(9/13)
厚生労働省では、このほど、令和6年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の入賞企業を決定しましたのでお知らせします。
このコンテストは、高年齢者雇用の重要性について、国民や企業などの理解の促進と、意欲のある高年齢者がその能力を十分に発揮して働き続けられる職場づくりに関するアイデアの普及を目的としており、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構との共催で毎年開催しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43335.html
労働契約等解説セミナー(9/11)
労働契約等に関するルールをはじめ、パートや契約社員等が長期的に活躍できる制度である「無期転換ルール」や、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」について、全12回オンライン(Zoom)で、経験豊富な社会保険労務士が解説いたします。
事業主・人事労務担当者や労働者の皆さまはもちろん、どなたでもご参加いただけます。
https://roukeiseminar.mhlw.go.jp/seminar.html
労働基準関係法制研究会 第13回資料(9/10)
議題:労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43475.html
多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)
令和6年度「多様な正社員」制度導入支援セミナー(第1回)のご案内(9/10)
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/seminar/
愛知県
「愛知県まち・ひと・しごと創生シンポジウム ~『日本一元気な愛知』の実現に向けて~」を開催します(9/9)
愛知県の人口は、2019年の約755万4千人をピークに4年連続で減少し、また、人口減少地域が県内全域に広がっていることから、人口問題は県全体に関わる重要な課題となっています。こうした中、愛知県では、2023年10月に「愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027(愛知県人口問題対策プラン)」(計画期間:2023~2027年度)を策定し、人口減少にできる限り歯止めをかけるとともに、人口減少下でも県内各地域が活力を維持し、すべての人が活躍でき、安心・快適に暮らせる社会の構築を目指しています。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/chihososei-symposium.html
「専門労働相談」(2024年10月~3月分)を実施します!~社会保険労務士が職場でのお悩みの相談に応じます~(9/10)
労務管理や就業規則の見直し、職場のトラブルなど、様々な労働問題について専門の相談員が解決に向けて助言をします。
相談料は無料、秘密厳守です。オンライン相談もできますので、お気軽に御相談ください。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/srs602.html