シリーズ「給与計算のツボ」第11回 〜年次有給休暇あれこれ〜
シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
リクエストがあればお問い合わせ(→こちら)にお書き下さい。
年次有給休暇(以下、有休)は、労働者にとっての権利であり、適切に管理することが企業に求められています。しかし、給与計算の際にこの有休をどのように処理するかは、給与担当者にとってしばしば複雑な問題です。ここでは、有休を給与計算において正しく処理するために必要なポイントをお伝えします。今回は、付与日の管理と出勤条件について見ていきましょう。
有給休暇の付与日を管理するには?
年次有給休暇は、入社から6ヶ月経過後に初回分が付与され、その後は1年ごとに更新されます。例えば、4月15日に入社した社員には10月15日に初回の有給休暇が付与され、以後も同じ日が付与日となります。
しかし、毎月の勤怠管理の中で一人ひとりの有給付与日を日単位で管理するのは手間がかかり、非常に煩雑です。このため、初回の有給付与日をその月の初日に繰り上げる方法がおすすめです。これにより、各社員の有給付与日を「毎年同じ月の初日」に統一できるため、月ごとの勤怠管理と整合性がとりやすくなります。この方法ならば繰り上げて支給するので法的にも問題がありません。給与担当者にとって管理がしやすくなる工夫のひとつです。
有給休暇の付与条件 〜「8割出勤」とは?
年次有給休暇の付与には、「8割出勤」の条件を満たしていることが必要です。これは、付与対象期間における出勤率が全労働日数の8割以上であることを指します。
「8割出勤」の定義
全労働日数とは、暦日数から所定の休日を差し引いた日数です。
ただし、会社都合での休業日(例えば事業の都合による臨時休業など)は、この全労働日には含まれません。
また、出勤率を計算する際には、以下の日数も「出勤」として扱われます
- 業務上の負傷・疾病による療養のための休業
- 育児・介護休業期間
- 産前・産後休業期間
- 取得済みの年次有給休暇
ただし、私傷病による休暇など、自己都合による欠勤は「8割出勤」には含まれないため、長期欠勤がある場合は注意が必要です。
もしも出勤率が8割に満たない場合、その年の有給休暇は付与されませんが、次回の付与日に条件を満たしていれば、元々の付与日数がそのまま付与されることになります。この場合、付与日数がずれ込むことはなく、あくまで勤続年数に対応した日数が新たに付与される形となります。
年次有給休暇の取り扱いには、こうした細かなルールや配慮が求められます。次回以降も、さらなる有給管理の工夫や注意点をご紹介していきますので、ぜひご期待ください。
働き方・休み方改善ポータルサイト「年次有給休暇とは」:https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/roudousya.html
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
弁護士ドットコムニュース
「同業他社への転職は認めない」ルールは有効なのか? 会社は「競業避止義務違反」を主張、裁判の行方は(10/27)
前に勤めていた会社から、競業避止義務違反で訴えられてしまった——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
https://www.bengo4.com/c_5/n_18071/
中小企業庁
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(11/1)
令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」といいます。)が施行されました。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html
厚生労働省
賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要(10/28)
賃金の改定状況
- 賃金の改定の実施状況別企業割合
「1人平均賃金(注)を引き上げた・引き上げる」企業割合 91.2%(前年89.1%) - 1人平均賃金の改定額(予定を含む。) 11,961円(前年 9,437円)
1人平均賃金の改定率(予定を含む。) 4.1%(同 3.2%)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/24/index.html
11月はテレワーク月間です
ーテレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行いますー(10/29)
テレワーク月間実行委員会(内閣官房内閣人事局、内閣府地方創生推進室、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、一般社団法人日本テレワーク協会、日本テレワーク学会)では、11月を「テレワーク月間」として、テレワークの普及促進に向けた取組を集中的に行います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44542.html
11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」です
~下請等中小事業者への「しわ寄せ」を防止し「働き方改革」を推進するため、 周知・啓発活動を集中的に行います~(10/31)
厚生労働省は、中小企業庁および公正取引委員会と連携し、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」として、周知啓発ポスターの掲示、業所管省庁や都道府県、労使団体への協力依頼など、集中的な周知・啓発の取組を行います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44774.html
高年齢者がいきいきと働くことのできる創意工夫の事例を募集します
~令和7年度「高年齢者活躍企業コンテスト」を実施~(10/30)
応募対象は、高年齢者が65歳以上になっても働ける制度を導入し、高年齢者が持つ知識や経験を十分に活かして、いきいきと働くことができる環境となる創意工夫を行った企業です。高年齢者が働きつづけられるための職場環境づくりや、新たな職場・職務の創出など、年齢にかかわりなく生涯現役でいきいきと働くことができる環境にするための改善策や創意工夫を活かした独自性のある取組について広く募集します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44591.html
日本年金機構
令和6年度「ねんきん月間」および「年金の日」のお知らせ(10/31)
日本年金機構は厚生労働省と協力して、11月を「ねんきん月間」と位置づけ、公的年金制度の普及・啓発活動に取り組みます。
また、平成26年から11月30日が「年金の日」と制定されました。
https://www.nenkin.go.jp/info/torikumi/nenkingekkan/2024.html
ITmedia ビジネスオンライン
月1回の「週休3日制」の効果、売上は過去最高に 老舗黒板メーカーのやり方(10/30)
老舗黒板メーカーのサカワは独自の週休3日制を導入し、成果を上げている。どのような制度で、どんな成果が出ているのか?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2410/30/news076.html
【11月から施行】フリーランス新法 経営者はどう見ている?(10/31)
11月からフリーランス新法が施行される。フリーランスと取引経験のある経営者・役員405人を対象に実施した意識調査をみると、新法の内容をポジティブに捉えている企業が多いようだ。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2410/31/news200.html
【本日施行】フリーランス新法、あなたの会社は「ウッカリ違反」していない? 注意すべきポイント(11/1)
11月1日から「フリーランス・事業者間取引適正化等法」、通称「フリーランス新法」が施行された。取引適正化を目指す法施行だが、企業側が「ウッカリ違反」してしまう可能性が否めない項目もある。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2411/01/news083.html
総務省
労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)9月分及び7~9月期平均(10/29)
- 就業者数
就業者数は6814万人。前年同月に比べ27万人の増加。26か月連続の増加 - 完全失業者数
完全失業者数は173万人。前年同月に比べ9万人の減少。2か月連続の減少 - 完全失業率
完全失業率(季節調整値)は2.4%。前月に比べ0.1ポイントの低下
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei04_01000270.html