ニュースPickup 2025年5月17日を掲載しました。

2025年5月17日

給与の「デジタル払い」って?制度の現状と中小企業への影響

ここ数年、「給与のデジタル払い」が話題になっています。
労働基準法施行規則の一部を改正する省令が令和5年4月1日に施行されたことで、従来の「現金払い」「銀行振込」等に加え、厚労省指定の資金移動業者の口座(キャッシュレスアプリ)への支払いが認められるようになりました。

自社には関係なさそうと感じる方もあるかもしれませんが、制度の理解と準備は、今後の労務管理を左右します。今回は、最低限押さえておきたいポイントをまとめてみました。

現時点で指定されている資金移動業者は、PayPay楽天ペイCOIN+(リクルートMUFGビジネス)、au PAYの4サービス。従業員は給与の全部または一部をこれらのアプリにチャージできます。

公的調査(厚労省「賃金のデジタル払いに関するニーズ調査」令和6年3月)では認知度が約61.0%に達する一方で、利用率は約0.2%にとどまっています。これに対し、民間調査(MMD研究所 2025年2~3月実施)は認知度約61.9%、利用率約2.8%と、調査時期や対象の違いにより数値に幅が見られます。自社の実態を踏まえ、複数のデータを参考にすることが肝要です。

中小企業が注目すべきポイントは以下の通りです。

  1. 柔軟な支払い手段のひとつに
    即時払い対応サービスも登場。勤務直後に一部を受け取れる仕組みは、従業員満足の向上につながる可能性があります。
  2. 銀行口座を持たない従業員への対応
    外国人労働者など口座開設が難しい人にも、給与支払いの選択肢を提供できます。

導入に際しては、労使協定の締結や口座残高上限(10万~30万円程度)の確認、そして資金移動業者のセキュリティ・資金保全体制のチェックが必要です。
また、「デジタル払いなら送金手数料が下がるのでは?」といった声もありますが、実際のコストは利用するサービスの仕組みによって異なります。
たとえば、多くの業者が採用する「仮想口座方式」では、企業側が従来の銀行振込と同じ手順で振込を行うため、手数料は従来の振込と同程度になる場合があります。一方で、今後、業者側が効率化した送金方法を提供し、コスト面でのメリットが出てくる可能性もあります。

キャッシュレス化が進む中、「給与のデジタル払い」は今後の選択肢として押さえておくべき制度です。まずは概要を理解し、自社に合った活用方法を検討してみてはどうでしょうか?

【参考】
厚生労働省「賃金のデジタル払いに関するニーズ調査(令和6年3月)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001481421.pdf
MMD研究所「給与デジタル払いとポイント経済圏に関する調査」:
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2427.html

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!


国税庁
令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(5/14)

令和7年度税制改正により、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が⾏われました。
これらの改正は、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適⽤されます。
このため、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます(令和7年11月までの源泉徴収事務には変更は生じません。)。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

厚生労働省
障害者雇用の課題をテレワークで解決!企業向け「障害者のテレワーク雇用相談窓口」開設 (5/16)

「法定雇用率を達成できない」「障害のある人向けに切り出す仕事がない」といった、障害者雇用のお悩みを「テレワーク」を使って解決しませんか? 障害者雇用に取り組む企業・団体の課題解決をサポートします。気軽な相談から伴走支援まで専門アドバイザーが無料で対応します。ぜひ本事業をご活用ください。
https://twp.mhlw.go.jp/

第197回労働政策審議会労働条件分科会(資料)(5/13)

・労働時間法制の具体的課題について
(総論、時間外・休日労働時間の上限規制、労働時間の情報開示、法定労働時間週44時間の特例措置、テレワーク等の柔軟な働き方、管理監督者)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57740.html

国民生活基礎調査を装った不審な訪問にご注意ください(5/9)

国民生活基礎調査の調査員ではない者(男女2人組)が自宅を訪問し、国民生活基礎調査の調査関係書類を装った紙を配布する事例が発生しています。
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/0713-1.html#kokuminseikatsu2025

第4回 経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会資料(5/16)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57864.html

多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)
多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和7年5月号を配信しました。(5/12)
  1. 2025(令和7)年度両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)のご案内
  2. 従業員の財産形成を支援しませんか?「勤労者財産形成促進制度」のご案内【再掲】
  3. 5分でわかる!職務分析・職務評価の解説動画を公開しています!
  4. 「多様な働き方の実現応援サイト」おすすめコンテンツのご紹介

https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/mail_magazine/backnumber_r0705.html

愛知県
「はがき1枚からの男女共同参画」の作品を募集します!(5/14)

愛知県では、男女共同参画社会の実現に向けて「わたしが暮らすなら、こんなジェンダー平等の社会」をテーマに、「こんな社会になったらいいな」という思いをはがき1枚にイラスト等で表現した作品を募集します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/danjo-hagaki2025.html

正規雇用転換支援事業の参加者及び参加企業を募集します!(5/12)

愛知県では、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、今なお不安定な就業を余儀なくされている就職氷河期世代をはじめ、不本意にも非正規雇用や無業の状態にある方の正規雇用での就業を支援するため、今年度新たに「正規雇用転換支援事業」を実施します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/seikikoyou.html

ITmedia ビジネスオンライン
「給料は上がらない」40~50代の叫び 就職氷河期世代に再び注目集まる(5/10)

夏の参院選を控えて、与野党が「就職氷河期世代」の支援を打ち出している。バブル経済崩壊による雇用環境の悪化で選択肢が限られた上、給与が低く抑えられ、老後への不安なども指摘されるこの世代。各種データからは、昨今の賃上げ機運からも冷遇されていることが浮き彫りとなっている。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2505/10/news080.html

「今年の新人は受け身だな」と決めつける前に、上司のあなたが自覚すべきこと(5/14)

「なぜ私は新入社員に嫌われているのか……」 ある課長が悩みを深めていた。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2505/14/news045.html

総務省
労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)1~3月期平均(5/13)

【正規、非正規の職員・従業員】

  • 役員を除く雇用者5794万人のうち、正規の職員・従業員数は3630万人と、前年同期に比べ31万人の増加。8期連続の増加。非正規の職員・従業員数は2163万人と、26万人の増加。3期ぶりの増加
  • 非正規の職員・従業員について、現職の雇用形態についた主な理由別にみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」とした者が763万人と、前年同期に比べ17万人の増加。「家計の補助・学費等を得たいから」とした者が375万人と、21万人の増加。「正規の職員・従業員の仕事がないから」とした者が178万人と、6万人の減少

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf