2025年春の労働関連法案が国会に提出されました
厚生労働省は5月16日、第217回国会に複数の労働関連法案を提出しました。
多様な働き手が安全かつ安心して働ける環境整備が目的で、カスタマーハラスメント対策、安全衛生法改正、年金・社会保険制度改革などが柱です。以下では中小企業の皆様にも知っておいてもらいたいポイントをいくつかご紹介します。
カスタマーハラスメント対策
改正案では、「カスタマーハラスメント」（顧客・取引先等からの過剰な言動）を防止するため、従業員からの相談対応や再発防止体制の整備など必要な措置を事業主に義務付けます。また、求人応募者等へのセクシュアルハラスメント防止も新たに規定しました。
労働安全衛生法の改正
改正案は、個人事業主を含めた労働災害防止対策を強化します。従業員50人未満の事業所でもストレスチェックが一定の準備期間を経て義務化されるほか、化学物質の危険情報通知義務違反には罰則を設けます。高年齢者の労災防止対策も努力義務化されます。
年金・社会保険制度の見直し
今国会では、働き方や生き方、家族構成の多様化に対応し、現在の受給者、将来の受給者の双方にとって、老後の生活の安定、所得保障の機能を強化することを基本の考え方とした「年金制度改革法案」も提出されています。
その中でもパートタイム労働者の厚生年金・健康保険の加入対象の拡大が柱の一つです。これまで「従業員51人以上の企業」「週20時間以上勤務」「賃金が月額8.8万円以上」など複数の条件がありましたが、今後は企業規模および賃金による制限が段階的に撤廃されていく方針です。
さらに、在職老齢年金の制度が見直され、60代以降も働く人への年金減額ルールが緩和される予定です。これまで「年金＋給与」が一定額を超えると年金が一部停止されていましたが、この調整基準が緩くなることで年金を受給しながら働く高齢者が、年金を減額されにくくなり、より多く働ける方向に変わります。
今後これらの法案の審議がされると思いますが、早いうちに法案の内容を確認し、改正後に慌てなくても良いように準備をされることをお勧めします。
それでは今週のニュースPickupをどうぞ！！
厚生労働省
第217回国会（令和7年常会）提出法律案（5/16）
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html
年金制度改正法案を国会に提出しました（5/17）
この法律は、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差等に中立的で、ライフスタイルや家族構成の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再配分の強化や私的年金制度の拡充等により、高齢期における生活の安定を図るためのものです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
第198回労働政策審議会労働条件分科会（資料）（5/23）
- 集団的労使コミュニケーションの在り方（過半数労働組合・過半数代表者等）について
- 労働時間制度等に関する実態調査結果について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58138.html
令和７年３月大学等卒業者の就職状況（４月１日現在）を公表します
～大学生の就職率は 98.0％と、前年同期から引き続き高水準を維持～（5/23）
- 大学（学部）は 98.0％（前年同期差▲0.1 ポイント）
- 短期大学は 97.0％（同▲0.4 ポイント）
- 大学等（大学、短期大学、高等専門学校）全体では 98.0％（同▲0.1 ポイント）
- 大学等に専修学校（専門課程）を含めると 98.1％（同＋0.1ポイント）
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00055.html
人事労務マガジン特集第233号 （5/15）
- 「障害者のテレワーク雇用企業向け相談支援窓口」
５月１日から相談の受け付けを開始しています - ６月は「外国人雇用啓発月間」です
知って、守って、みんなで活躍 ～外国人雇用はルールを守って適正に～
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57865.html
働き方・休み方改善ポータルサイト（厚生労働省）
「働きがいのある職場づくりのために～エンゲージメント向上に向けた効果的な実践方法の検討～」セミナーのアーカイブを公開しました。（5/16）
https://work-holiday.mhlw.go.jp/work-engagement/index.html#seminar
首相官邸
政労使の意見交換（5/22）
会議では、２０２５年春季労使交渉、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進５か年計画」の施策パッケージ案及び最低賃金の引上げ方針について、労使の方々との意見交換が行われました。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202505/22seiroushi.html
経団連
2025年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況（5/22）
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/036.pdf
週刊 経団連タイムス 2025年5月22日 No.3683（5/22）
・採用と大学教育の未来に関する産学協議会第9回会合を開催－2024年度報告書を公表 他
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2025/#d20250522
弁護士ドットコムニュース
河合塾ベテラン講師が異例ストライキ、賃上げ求める15分…生徒たちも共感「もっと労働者が発信したほうがいい」（5/21）
1分あたり35円の賃上げのほか、講師を私学共済に入れるようにすること、さらに業務委託の講師も「労働者」と認めて5年以上勤務することで得られる無期雇用への転換権を認めることを求めた「15分間」の時限ストだった。
https://www.bengo4.com/c_18/n_18833/
愛知県
－中小企業人材確保事業－ 「採用戦略支援塾」及び「あいち合同企業説明会」の参加企業を募集します！（5/19）
この事業では、人手不足が顕著な5業種の中小企業に対し、採用活動を支援するための「採用戦略支援塾」を実施します。また、採用戦略支援塾の参加企業及びあらゆる業種の中小企業に対し、求職者とのマッチングを図る「あいち合同企業説明会」を実施します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/aichishushoku-2025.html
専門労働相談 ～社会保険労務士が職場でのお悩みの相談に応じます～（5/20）
労務管理や就業規則の見直し、職場のトラブルなど、様々な労働問題について専門の相談員が解決に向けて助言をします。
相談料は無料、秘密厳守です。オンライン相談もできますので、お気軽に御相談ください。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/rodofukushi/srs.html
日本年金機構
「日本年金機構からのお知らせ」令和7年5月号（5/22）
- 令和7年度社会保険制度説明会のご案内
- 賞与支払届の届け出もれ防止のために、賞与支払予定月の登録をお願いします
- 「事業所向けオンラインサービス」のよくある質問にお答えします
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html
