ニュースPickup 2025年9月13日を掲載しました。

2025年9月6日

全ての都道府県で地域別最低賃金が答申 全国平均は過去最大の引上げに

厚生労働省は、47都道府県全てで2025年度の地域別最低賃金の答申が出揃ったことを9月5日に発表しました。全国加重平均は1,121円となり、昨年度から66円(6.3%)の引上げ。改定幅は63円から82円で、最大の引上げとなったのは82円を決定した熊本県です。愛知県は1,140円(+63円)岐阜県は1,065円(+64円)となり、いずれも10月18日に改定が予定されています。

👉 愛知県の最低賃金引上げについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

今回の引上げは物価高を背景にした実質賃金の目減りや人手不足に対応するもので、過去最大級の水準です。中小企業にとっては人件費負担の増加が避けられず、業務効率化価格転嫁の工夫がますます重要になると考えられます。他方で、賃上げは人材確保や定着率向上につながる可能性が高く、待遇改善のチャンスとも言えるでしょう。今後実施される厚生労働省等の支援制度をうまく活用し、持続可能な経営と働きやすさの両立を図るのも良いのではないでしょうか?

出典:厚生労働省|全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました ~答申での全国加重平均額は昨年度から66円引上げの1,121円~(9/4)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!


厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年7月分結果速報(9/5)

名目賃金は43カ月連続で増加し、一人平均現金給与総額は419,668円(前年比4.1%増)。実質賃金も0.5%増と7カ月ぶりにプラスとなりました。

🔎今週の視点
名目賃金が続伸し、実質賃金もようやく上昇に転じたことは、労働者にとって安心材料となるのではないでしょうか。ただ、この改善が大企業と中小企業で同じように進んでいるのかは気になるところです。賃上げ率に関する調査では両者の差は大きくないものの、企業規模によって実感に開きがある可能性は残ります。また、業種によっても状況は異なり、人手不足が深刻なサービス業や建設業では人件費の上昇が強まりやすく、製造業などでは生産性の工夫が求められる場面も多いと考えられます。規模や業種ごとの実態を丁寧に見極めながら、賃上げと生産性向上の両立をどう進めるかが今後の焦点になるのではないでしょうか。

出典:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2507p/2507p.html


厚生労働省|9月5日から、事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等を支援する「業務改善助成金」を拡充します ~対象事業所を拡大し、一定の条件を満たす事業所は賃金引上げ計画の提出が省略可能になります~(9/5)

事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等を支援する「業務改善助成金」が拡充。対象事業所が広がり、条件を満たせば賃金引上げ計画の提出を省略可能になります。

🔎今週の視点
最低賃金引上げが全国的に進む中で、中小企業の賃上げ負担を下支えする仕組みが広がっています。活用しやすさが増したことで「使ったことがない」と敬遠していた事業所でも検討の余地があるのではないでしょうか。支援をうまく取り入れつつ、従業員への還元と経営の安定化を両立させる工夫が求められます。

出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63127.html


国税庁|令和7年分 年末調整のしかた(9/1)

国税庁が「令和7年分 年末調整のしかた」を公表。チェック表やQ&A、申告書記載例などが更新され、事業主・従業員双方に向けた実務情報がまとめられています。

🔎今週の視点
年末調整は毎年のルーティン業務ですが、実は細かな改正や注意点が多く含まれています。担当者にとっては負担が大きく、ちょっとした理解不足や改正点の見落としが、大きなミスにつながりかねません。早めに最新資料に目を通し、ポイントを整理しておくことが、結果的に安心して業務を進めることにつながるのではないでしょうか。

出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/01.htm


中小企業庁|9月は「価格交渉促進月間」です(9/1)

中小企業庁は9月を「価格交渉促進月間」とし、継続的な賃上げ実現に向けて価格転嫁と取引適正化を呼びかけています。

🔎今週の視点
人件費や原材料費の上昇を価格に反映させることは、中小企業の持続的な経営に欠かせません。しかし「言い出しにくい」と感じる企業も多いのではないでしょうか。国の後押しをきっかけに、取引先との対話を進めることで、労務環境の改善にもつながると考えられます。

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/index.html


ITmedia ビジネスオンライン|年収600万円の社員が半年で退職、企業の損失額は?(8/31)

エン・ジャパンの調査によると、入社半年で早期退職が発生した場合、企業の損失額は数百万円規模に上ると試算されました。採用コストや教育投資の損失が大きな要因です。

🔎今週の視点
早期離職は金銭的損失だけでなく、職場の士気低下や残された社員の残業増加といった副次的な影響も生じます。単に「定着しない若手」と片付けるのではなく、採用からオンボーディングまでの流れを見直すことが必要ではないでしょうか。丁寧な育成やキャリア対話が、離職防止に大きく寄与すると考えられます。

出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2508/31/news011.html


愛知県|県内の企業における2025年夏季一時金要求・妥結状況調査結果(9/3)

愛知県は県内企業の夏季一時金要求・妥結状況を公表。平均妥結額は1,030,531円で前年比42,886円増(4.3%増)、平均妥結月数は3.02か月となりました。

🔎今週の視点
地域のボーナス水準は、従業員の生活実感や採用活動に直結します。愛知県では前年より上昇しましたが、物価高の中で「十分か」との声もあるかもしれません。自社の支給水準を見直す際には、同業種・地域の動向を参考にすることが有効ではないでしょうか。

出典:https://www.pref.aichi.jp/press-release/2025kaki.html