被扶養者認定における「年間収入の取扱い」が見直しへ
〜労働契約に基づく収入見込みをより重視〜
厚生労働省は、「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」(令和7年10月1日付 通達)を発出し、被扶養者認定時に判断基準となる「年間収入」の考え方が整理されました。
これまでは、過去の収入実績をどの程度考慮すべきか、あるいは将来の収入見込みをどこまで含めるべきかなど、実務担当者が判断に迷う場面も少なくありませんでした。今回の見直しにより、労働契約に基づく今後1年間の収入見込みを基本とし、契約上の賃金が基準額(一般的には130万円)を下回るかどうかで判定することが原則となります。
また、時間外手当や休日労働手当、深夜割増手当なども、労働契約において確実に発生すると定められている場合には年間収入に含めるとされていますが、一方で、契約上明確な定めがなく、実際には経常的に発生している時間外労働については、一時的な収入変動とみなして判断してよいとされています。
ただし、契約内容を意図的に低く記載して実態と乖離させるようなケースは認められず、その場合は被扶養者に該当しない取扱いとなる点にも注意が必要です。
今回の改正は、令和8年4月1日から適用されます。扶養認定の実務を担う担当者は、今のうちに内容を確認しておくと安心でしょう。
出典:厚生労働省|労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(10/1)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251006S0060.pdf
厚生労働省|労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定に係るQ&Aについて(令和7年10月1日保保発1006第7号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251006S0070.pdf
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
厚生労働省|「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について(10/1)
これまで「当面の対応」とされていた、いわゆる“年収の壁”対策の一環である「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」が恒久化されました。今後は、事業主の証明があれば、収入が一時的に基準を超えても被扶養者認定が可能になります。
🔎今週の視点
パート・アルバイトの「130万円の壁」は、長年にわたり現場の悩みの種となってきました。一時的な残業や休日出勤による収入変動を、事業主が証明することで柔軟に判断できるようにした今回の恒久化措置は、従業員が安心して働き続ける後押しとなるのではないでしょうか。
出典:厚生労働省|「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について(10/1)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251006S0050.pdf
多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和7年10月号を配信しました(10/6)
厚生労働省が配信するメールマガジン10月号では、働く女性の健康課題や勤務間インターバル制度、働き方・休み方改革シンポジウムの案内など、柔軟な働き方を支援する最新情報がまとめられています。
🔎今週の視点
数多くのセミナーやシンポジウムが紹介されています。どれも参加費無料でリモートで参加できるものばかりですので、興味あるものが見つかったら気軽に申し込んでみてはいかがでしょうか?
出典:多様な働き方の実現応援サイト|多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和7年10月号を配信しました(10/6)
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/mail_magazine/backnumber_r0710.html
ITmedia ビジネスオンライン|採用面接で「うそを話しているかもしれない」と感じたら? 応募者の本質を見抜くコツ(10/7)
応募者が事実と異なることを話しているかもしれないと感じた場合、面接官はどう対応すべきか。表情や言葉よりも、質問の流れや反応の一貫性を見極めることの重要性が紹介されています。
🔎今週の視点
採用面接は、応募者の「印象」より「中身」を見抜くことが大切です。嘘を暴くのではなく、応募者が自分をどう見せたいのかを理解する視点が役立ちます。互いの信頼の形成を意識した面接が、ミスマッチ防止につながるのではないでしょうか。
出典:ITmedia ビジネスオンライン|採用面接で「うそを話しているかもしれない」と感じたら? 応募者の本質を見抜くコツ(10/7)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2510/07/news071.html
愛知県|「2025年度版あいちの男女共同参画(2024年度年次報告書)」を作成しました(10/8)
愛知県が男女共同参画の年次報告書を公表しました。重点目標である「多様な働き方」「ワーク・ライフ・バランス」「意思決定への女性参画」などに関する県内施策の概要がまとめられています。
🔎今週の視点
この報告書は「男女共同参画」を切り口にしていますが、実際には人口ピラミッドや合計特殊出生率、男女別の健康寿命や就業率の推移など、愛知県の現状を多面的に示すデータが豊富に掲載されています。たとえば、女性の就業率上昇や男性の家事・育児時間の変化など、社会の変化を数字で実感できる内容です。男女共同参画に限らず、地域の将来像を考えるうえでも、一読してみる価値がありそうですね。
出典:愛知県|「2025年度版あいちの男女共同参画(2024年度年次報告書)」を作成しました(10/8)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/danjo-2025houkoku.html

