働き方改革関連法施行後5年の総点検
2026年3月5日、厚生労働省は「働き方改革関連法施行後5年の総点検」に関する調査結果を公表しました。働き方改革関連法の施行から5年が経過したことを受け、労働時間を中心に、労働者や企業の意識の変化を把握することを目的として実施されたものです。
調査は2025年10月から12月にかけて行われ、主な内容は次のとおりです。
- 労働時間等に関する労働者の意識・意向アンケート調査(3,000人)
- 企業ヒアリング(327社)
- 対象企業の労働者ヒアリング(97人)
今回の調査では、労働時間に対する認識や希望についての集計が行われています。結果を見るといくつか興味深い傾向が見えてきます。
まず、労働時間の増減に関する希望については、「このままで良い」と回答した人が約60%と多数を占めました。業種や所定労働時間の長さによる大きな差も見られず、全体として現状を大きく変えたいという意識はそれほど強くないようです。
「労働時間を減らしたい」理由として最も多かったのは「自分の時間を持ちたいから」(67%)でした。一方で「このままで良い」とする理由では「仕事と生活のバランスを変えたくないから」(44%)が多く、また「労働時間を増やしたい」理由では「たくさん稼ぎたいから」(42%)が最多となっています。労働時間に対する考え方が比較的率直に表れた結果と言えそうです。
また、妥当だと考える1か月当たりの時間外労働については、「20時間以下」が全体の66%、「45時間以下」が累計で93%となりました。これは現在の36協定における時間外労働の上限規制(原則月45時間以内)の範囲におおむね収まる水準です。
こうした結果を見ると、働き方改革の施行以降、企業側の管理体制だけでなく、労働者側の意識にも一定の変化が生じている可能性がうかがえます。過度な長時間労働を前提とする働き方から、ワークライフバランスを意識した働き方へと、徐々に価値観が移りつつあるのかもしれません。
厚生労働省では、今回の調査結果も踏まえ、今後の労働基準関係法制の見直しに関する議論を進めていくとしています。自社の労働時間管理や働き方のあり方について、改めて確認しておく必要がありそうですね。
出典:厚生労働省|「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の調査結果を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00060.html
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
厚生労働省|第1回目安制度の在り方に関する全員協議会 資料(2/27)
最低賃金の目安制度の在り方を検討する「全員協議会」の第1回会合の資料が公表されました。近年、近隣県との競争意識や「最下位争い」といった指摘の中で、目安を大きく上回る引上げが行われている点などが論点として示されています。また、最低賃金のランク制度の見直しについても検討項目として整理されています。
🔎今週の視点:
近年の最低賃金は、人材獲得のため地域間での引上げ競争のような側面も見られると言われています。こうした状況を踏まえ、制度の仕組み自体を見直す議論が始まった点は注目されそうです。また、EUでは賃金の中央値の60%などを参考指標とする考え方も示されており、こうした海外の動向も議論の参考として取り上げられる可能性があります。最低賃金の動向には引き続き目を向けておく必要がありそうですね。
出典:厚生労働省|第1回目安制度の在り方に関する全員協議会 資料(2/27)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70886.html
厚生労働省|第5回労働基準法における「労働者」に関する研究会 議事録(3/2)
労働基準法上の「労働者」の判断基準を検討する研究会の議事録が公表されました。今回は、これまでの議論の整理案が提示され、国内外の状況や昭和60年の労基研報告の判断要素の分析などが紹介されています。また、労働者性判断の枠組みや要素の重みづけなどについても議論が行われました。
🔎今週の視点:
フリーランスや業務委託など、多様な働き方が広がる中で「労働者性」の判断はこれまで以上に重要なテーマになっています。裁判例でも労働者性はその都度判断されており、今後、フリーランスなどへの対応含めて「労働者性判断の予見可能性」をどう高めるかが大きなテーマになりそうですね。
出典:厚生労働省|第5回労働基準法における「労働者」に関する研究会 議事録(3/2)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70891.html
厚生労働省|「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について(3/4)
労働者災害補償保険法等の改正に関する法律案要綱について、労働政策審議会からの答申が公表されました。改正内容には、遺族補償年金における女性特例の廃止のほか、個人事業主等で構成される団体に関する制度整備、判断が難しい疾病に関する消滅時効期間を2年から5年へ延長することなどが含まれています。
🔎今週の視点:
今回の改正では、遺族補償年金の男女差に関する制度の見直しや、個人事業主等への対応などが盛り込まれています。近年はフリーランスや個人事業主の働き方も注目されており、労災制度の対象や仕組みの整理が進められていることがうかがえます。今後の法案提出や制度改正の動きも含めて、動向に注目しておきたいところですね。
出典:厚生労働省|「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について(3/4)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00058.html
多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和8年3月号を配信しました。(3/2)
厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」では、メールマガジン3月号が配信されました。今回は、フリーランスに対するハラスメント対策の研修動画の紹介や、職務分析・職務評価制度の導入に関する解説などが掲載されています。
🔎今週の視点:
多様な働き方が広がる中で、フリーランスとの関係性や職務評価の仕組みなどに関心を持つ企業も増えているようです。特に職務分析・職務評価は、業務内容の整理や人事制度の見直しにも役立つと言われています。人事制度の整備や働き方改革を進める際の参考資料として活用できそうです。
出典:多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和8年3月号を配信しました。(3/2)
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/mail_magazine/backnumber_r0803.html
愛知県|県内大学・短期大学の2026年3月卒業予定者の就職内定率(1月末現在)は90.0% ~前年1月末と比べて0.6ポイント低下~(3/2)
愛知県は、県内大学・短期大学の2026年3月卒業予定者の就職内定率を公表しました。1月末時点の内定率は90.0%で、前年同時期と比べて0.6ポイント低下したとされています。
🔎今週の視点:
0.6%の低下を高いと見るか低いと見るかは意見の分かれるところですが、全体としては相変わらず高い水準を維持していると言えそうです。
地域の採用動向の参考にもなりそうですね。
出典:愛知県|県内大学・短期大学の2026年3月卒業予定者の就職内定率(1月末現在)は90.0% ~前年1月末と比べて0.6ポイント低下~(3/2)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/j-2025-naiteiritsu20260302.html
ITmedia ビジネスオンライン|日立・ソニー・三井化学が組む「企業間副業」 “武者修行”を組織の進化にどう生かす?(3/4)
日立製作所が導入した副業制度の中でも、ソニーグループや三井化学と連携した「企業間副業」の取り組みが紹介されています。社員が他社で経験を積み、その学びを自社に持ち帰ることで、組織全体の成長につなげることを狙った制度です。
🔎今週の視点:
副業制度は個人のキャリア形成のための仕組みとして注目されてきましたが、この記事では、より具体的に社外での経験を組織の知見として取り込もうという試みがユニークですね。このような取り組みは、これからの人材育成の一つのヒントになるかもしれませんね。
出典:ITmedia ビジネスオンライン|日立・ソニー・三井化学が組む「企業間副業」 “武者修行”を組織の進化にどう生かす?(3/4)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2603/04/news038.html

