労働条件明示のルール改正
昨年末のこのコーナーでもご紹介しましたが(→こちら)、いよいよこの4月より労働条件明示のルールが改正されます。全ての事業主、労働者の方に影響がありますので、簡単におさらいしておきましょう。
一言で言うと「労働契約の締結・更新のタイミングでの労働条件明示事項が追加される」という事です。
具体的には次の3点です。
明示のタイミング | 新しく追加される明示事項 |
---|---|
全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時 | 就業場所・業務の変更の範囲 |
有期労働契約の締結時と更新時 | 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容 |
無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時 | 無期転換申込機会 無期転換後の労働条件 |
まず、すべての労働者が対象となる「就業場所・業務の変更の範囲」ですが、雇い入れ後最初の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要になります。会社の都合で配置転換が行われたり転勤などが発生する可能性がある場合には、その範囲を労働契約の締結時と、有期雇用契約者については更新時にも伝える必要があります。出向を命ずる可能性がある場合にはその点の記載も必要です。
これは、政府が進めようとしているジョブ型雇用に関連して、業務限定正社員や地域限定正社員などの扱いを明確にする意図があると考えられます。逆に言えばこの部分に差があることで「同一労働同一賃金」の原則を維持した上で処遇に差をつけることも可能と言えます。もちろんそれは均衡待遇の範囲であることが必要なのは言うまでもありませんが。
また、有期雇用契約者に対して適用される、「更新上限の有無と内容」、「無期転換申込機会、無期転換後の労働条件」については、突然の雇い止めや、なかなか進んでいない無期転換制度を労働者にちゃんと伝えることで、有期雇用契約者の地位を守ることを目的として定められています。
更新上限については更新上限を新たに定める場合や短縮する場合には、更新時でなく「あらかじめ」その理由を労働者に説明する必要がある点に留意が必要です。
また、無期転換申込に関してその雇用する有期契約労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととされています(パート・有期労働法第16条)。
いずれも雇用契約書や労働条件通知書などの書面で提示することが必要です。厚生労働省から労働条件通知書のモデルをダウンロードすることも可能ですので、活用されることをお勧めします。
厚生労働省:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
モデル労働条件通知書
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156118.pdf
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!
日本年金機構
「健康保険・厚生年金保険 子育て支援のための制度」(動画)を掲載しました(3/18)
健康保険・厚生年金保険には産休や育休を取得したときなどにおける子育て支援のための制度があります。
本動画では、1.産休や育休を取得したとき、2.職場復帰後に報酬が少なくなったとき、3.3歳未満の子を養育しているときの3つのケースについて説明しています。ぜひご覧ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/learn/kousei.html
「日本年金機構からのお知らせ」令和6年3月号(3/19)
- 令和6年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が行われます
- 令和6年4月1日から現物給与の価額が一部改正されます
- 令和6年度の子ども・子育て拠出金率 他
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html
厚生労働省
「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」バージョンアッププログラム(Ver.3.7)を公開(3/19)
https://stresscheck.mhlw.go.jp/news.html#20240319
中小企業庁
中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(九次公募)の公募要領を公表します(3/18)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240318shoukei_kobo.html
日本商工会議所
事業承継税制の活用に向けたオンラインセミナー開催決定、参加者の募集を開始(3/19)
日本・東京商工会議所は、このたび、令和6年度税制改正にてエントリー期限が2年延長(2026年3月まで)された事業承継税制(事業承継時の相続税・贈与税負担をゼロにする特例措置)を多くの中小企業にご活用いただくべく、同税制の活用のポイント等を解説するオンラインセミナー(『今しか使えない!』自社株承継時の税負担が“ゼロ”になる事業承継税制活用セミナー)4月23日(火)13時から開催する。
https://www.jcci.or.jp/news/2024/0319093000.html
ITmedia ビジネスオンライン
【24年4月】障害者雇用率はどう変わる? 法改正のポイントと中小企業が取るべき3つの対応(3/21)
2024年4月より、障害者雇用に関する3つの法律「障害者雇用促進法」「障害者差別解消法」「障害者総合支援法」の改正法が施行されます。
今回は、企業の障害者雇用に対する措置を定める法律で影響が大きい障害者雇用促進法の主な改正点と、中小企業の障害者雇用に与える影響や今後のポイントについて解説します。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2403/21/news007.html
弁護士ドットコムニュース
トイレに行ったら「休憩時間」を減らされる…そんなのアリ? 我慢して体調不良になる人も(3/16)
https://www.bengo4.com/c_5/n_17313/
総務省
2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)2月分(3/22)
- 総合指数は2020年を100として106.9
前年同月比は2.8%の上昇 - 生鮮食品を除く総合指数は106.5
前年同月比は2.8%の上昇 - 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.9
前年同月比は3.2%の上昇
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei08_01000278.html