ニュースPickup 2025年3月8日を掲載しました。

2025年1月18日

最新データで見る中小企業の退職金事情(2024年版)

昨年(2024年)末に東京都産業労働局による「中小企業の賃金・退職金事情」が公表されました。
中小企業に関する統計はあまり多くなく、参考になる情報が非常に多い内容です。退職金に関するデータも1年おきに発表されており、今年はその年に当たります。今回はこの退職金に関する調査結果を少し掘り下げてみましょう。

今回の集計は、東京都内の中小企業659社の回答を基にしています。

退職金制度の有無

「退職金制度あり」が64.2%(71.5%)、「制度なし」が34.4%(28.3%)
※カッコ内は前回(令和4年度)の結果(以下同じ)

調査対象が前回と異なっている可能性があるため、単純な比較は難しいものの、今回の結果からは退職金制度を設けている企業がやや減少している傾向が見て取れます。

退職一時金の支払準備形態

「社内準備」が59.2%(62.0%)で最も多く、次いで「中小企業退職金共済制度」が50.9%(49.5%)という結果でした(複数回答可)。

他には、「特定退職金共済制度」6.8%、「退職金保険」10.1%などの形態が挙げられています。

退職一時金の算出方法

「退職金算定基礎額×支給率」が42.0%(43.5%)で最も多く、次いで「勤務年数に応じた一定額」が29.9%(25.0%)でした。

「退職金算定基礎額」については、「退職時の基本給」が45.0%(45.0%)で最も多く、次いで「退職時の基本給×一定率」が27.8%(30.8%)となっています。「ポイント制」を採用している企業は10.6%(15.5%)に減少しています。

なお、経団連の「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、大企業では「ポイント制」を採用している企業が76.7%に上り、中小企業との差が顕著です。この点については注目すべき課題と言えるでしょう。

モデル退職金

モデル退職金(学校卒業後、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)を見てみると、定年時の支給金額は次のようになっています。

  • 高校卒:9,741千円(9,940千円)
  • 高専・短大卒:9,920千円(9,832千円)
  • 大学卒:11,495千円(10,918千円)

高校卒は若干減少していますが、高専・短大卒および大学卒はわずかに増加しています。ただし、大きな差ではないといえます。


今回は退職金について見てきましたが、他にも賃金、賞与・諸手当、初任給など、豊富な情報が記載されています。これらのデータは、自社の賃金水準を検証する際にも有用ではないでしょうか。

東京都TOKYOはたらくネット 中小企業の賃金・退職金事情:https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/chincho/index.html

経団連 2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果:https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/026.pdf

それでは、今週のニュースPickupをどうぞ!

厚生労働省
令和6年 民間主要企業年末一時金妥結状況を公表します
~平均妥結額(891,460円)は過去最高の額~(1/17)
  • 平均妥結額は891,460 円で、昨年と比較して41,915 円(4.93%)の増
  • 平均要求額は933,804 円で、昨年と比較して51,687 円(5.86%)の増

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48748.html

労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について」を公表します(1/17)
  1. 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
  2. 職場のメンタルヘルス対策の推進
  3. 化学物質による健康障害防止対策等の推進
  4. 機械等による労働災害の防止の促進等
  5. 高年齢労働者の労働災害防止の推進
  6. 一般健康診断の検査項目等の検討
  7. 治療と仕事の両立支援対策の推進

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00020.html

育MEN(イクメン)プロジェクト(厚生労働省)
ショートドラマ『もしも自分がパパになったら』第二弾・第三弾を公開しました(1/14)

https://ikumen-project.mhlw.go.jp/project/collaboration

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
改正高年齢者雇用安定法の経過措置は、令和7年(2025年)3月31日をもって終了します(厚生労働省のホームページへ移動します)(1/14)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html

ITmedia ビジネスオンライン
ユニクロは33万円、東京海上日動は41万円 大手企業で初任給30万円台続々 今後は?(1/18)

大手企業の間で、優秀な人材を獲得するため新入社員の初任給を引き上げる動きが相次いでいる。初任給が30万円台を超す企業が増えてきた。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2501/18/news081.html

経団連
週刊 経団連タイムス 2025年1月16日 No.3667(1/16)

https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2025/#d20250116