ニュースPickup 2025年6月21日を掲載しました。

2025年6月21日

年金制度改正法が成立しました

2025年6月、年金制度改正法が成立しました。今回の改正では、現役世代・高齢世代ともに、より多様な働き方・暮らし方に対応できる制度への見直しが図られています。今日は企業の労務担当者にとっても影響の大きいポイントを、簡潔に整理しました。

■ 社会保険の適用拡大
週20時間以上働く短時間労働者への適用が、企業規模に関係なく拡大されます。2027年10月に従業員36人以上、2029年10月21人以上、2032年10月11人以上、2035年には10人以下の企業にも適用され、賃金要件(月8.8万円以上)も3年以内に撤廃予定。いわゆる「年収106万円の壁」も解消に向かいます。
新たに適用対象となる労働者については、社会保険料の負担が急増しないよう、3年間の特例措置が設けられます。具体的には、保険料のうち一部を事業主が追加で負担し、その追加負担分を国が全額補助するしくみです。労働者の保険料負担は賃金に応じて段階的に増える仕組みで、移行への配慮がなされています。

■ 個人事業所にも適用拡大(2029年10月~)
これまで対象外だった業種の個人事業所(例:農業・宿泊業等)も、常時5人以上の従業員がいれば社会保険の適用対象に。ただし、2029年10月時点で既に存在している事業所は当面対象外とする経過措置があります。

■ 在職老齢年金の見直し(2026年4月~)
年金受給と就労の両立を促すため、支給停止の基準額が月50万円から62万円に引き上げられます。

■ 遺族年金の男女差解消(2028年4月~)
夫が55歳未満で妻を亡くした場合など、これまで遺族厚生年金を受け取れなかったケースでも、一定条件下で最長5年間の給付が可能になります。性別による不公平を見直し、配偶者の死亡による経済的打撃に対応します。
また、遺族となった父または母と生計を同じくしていても、その親が遺族基礎年金を受け取れない場合には、子が直接受給できる制度が導入されます。

■ 標準報酬月額の上限引き上げ(2027~2029年)

現在月65万円が上限の保険料計算に使う報酬額を、2029年までに段階的に75万円へ引き上げ。高収入者の実際の賃金に応じた年金額の受給が可能になります。

■ その他年金制度の見直し

  • こどもの加算、老齢厚生年金の配偶者加算の見直し (2028年4月〜)
  • 脱退一時金の見直し(4年以内に実施)
  • iDeCoの加入年齢が70歳までに延長(3年以内に実施)
  • 企業型DCの拠出限度の見直し・マッチング制限の撤廃(3年以内に実施)

制度の改正は何年かかけて段階的に進みますが、対応には準備が必要です。ご自身の会社がいつから適用になるのかの把握もしながら、常に新たな情報にアンテナを張ることも大切ですね。
このコーナーでも具体的なことが決まり次第、タイムリーに情報提供したいと考えています。

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!


厚生労働省
年金制度改正法が成立しました(6/13)

令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

令和7年度「安全衛生に係る優良事業場、団体又は 功労者に対する厚生労働大臣表彰」の受賞者を決定しました(6/16)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58866.html

人事労務マガジン特集第234号(6/18)
  1. 7月23日(水)開催 ろうきょう市町村セミナーの参加者募集中
    「地域課題を解決する新たな選択肢~労働者協同組合を活用した地域づくり~」
  2. 4月から改正育児・介護休業法が施行されています
  3. 4月から改正次世代育成支援対策推進法が施行されています
  4. 「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の応募受け付け中 締め切り:7月31日(木)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58745.html

第7回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料(6/18)
  1. 労災保険の適用範囲
  2. 家事使用人への災害補償責任及び労災保険法等の適用
  3. 暫定任意適用事業
  4. 特別加入団体

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58890.html

弁護士ドットコムニュース
熱中症リスク高まる猛暑日、企業に在宅勤務を命じる義務は?(6/17

熱中症対策が欠かせませんが、このような気候の下、会社は従業員にどのような配慮をしなければならないのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。
https://www.bengo4.com/c_18/n_18969/

愛知県
中小企業等の経営層、中小企業支援担当者向け 「デジタル人材育成研修」の参加者を募集します(6/16)

愛知県では中小企業等の経営層や企業支援担当者等に対し、経営課題の解決及び企業の価値向上に資するデジタル化の必要性を啓発するため、経営課題の抽出や経営計画の策定の他、企業の価値向上に向けたデジタル技術活用方法の習得を目指す研修会を開催します。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/aichi-pref-iot/digitaltraining-management2025.html

社会人のための起業家・新規事業人材育成プログラム ACTIVATION Lab「WORKSHOP」の参加者を募集します!(6/18)

STATION Aiメンバーの予備軍である起業に関心のある層を拡充し、エコシステムの発展を図るために、社会人を対象とした起業家発掘・育成事業「ACTIVATION Lab」を2023年度から実施しています。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/startup-2025activatew1.html

「小規模企業のみなさまに」リーフレット(6/16)

国、県の小規模企業施策をより多くの企業の方々にご理解いただくため、「小規模企業のみなさまに」を作成しました。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kinyu/180614.html

ITmedia ビジネスオンライン
夏のボーナス 「いくら」もらえたら転職を思いとどまる? 社会人に聞いた(6/20)

マイナビ(東京都千代田区)が実施した調査によると、正社員の6割が「夏の賞与後に転職する予定」と回答したことが明らかになった。転職を思いとどまる、その金額とは?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2506/20/news009.html

内閣府
経済財政運営と改革の基本方針2025(6/13)

令和7年6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2025/decision0613.html
※最低賃金の引き上げについて再度政府の方針が示されています。

日本年金機構
「日本年金機構からのお知らせ」令和7年6月号
  • 算定基礎届は7月10日までにご提出ください
  • 算定基礎届の手続きには、「電子申請」をご利用ください!
  • ~従業員の方へお知らせください~国民年金保険料の学生納付特例制度、免除等を受けた期間を納めて年金額を増やせます

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.html

社会保険事務のポイント Vol.9
  • ケース①給与計算期間の途中から入社した時(途中入社月の扱い)
  • ケース②短時間労働者の定時決定を行うとき

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.files/jimu_point_vol.9.pdf

経済産業省
パートナーシップ構築宣言のひな形を改正しました(令和7年6月20日改正)(6/20)

重層的なサプライチェーン全体で宣言の普及を図ることを目的として、6月20日(金曜日)に、パートナーシップ構築宣言の「ひな形」を改正しました。
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250620002/20250620002.html