ニュースPickup 2024年11月16日を掲載しました。

2024年9月7日

シリーズ「給与計算のツボ」第7回 〜時間外手当の計算②〜

シリーズ「給与計算のツボ」は、スタートアップ経営者の方や、給与担当を始めたばかりの初心者向けに、給与計算にまつわるあれこれを、不定期にお伝えするものです。
給与計算のカラクリの基本的な仕組みを知っておくことで、従業員や社長からの質問に、自信を持って答えられるようになることを目指します。
リクエストがあればお問い合わせ(→こちら)にお書き下さい。

今回は少し複雑な時間外手当の計算方法を取り上げてみましょう。
まずは深夜勤務に対する割増賃金について確認しましょう。

前提として、変形労働時間制や週法定労働時間44時間の特例を適用する事業者は除外して説明します。

深夜勤務の割増について

労働基準法第37条第4項では、「使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と定められています。
現状では、午後10時から午前5時までが深夜労働とされており、この時間帯の労働には通常賃金に加え、割増賃金基礎×深夜労働時間数×0.25以上を追加で支払う必要があります。

日を跨ぐ勤務の割増賃金の計算

「継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること。」という通達(昭和63年1月1日基発1号)があります。そのため、日を跨ぐ場合も、その勤務は前日から続くものとみなし、割増賃金を計算することになります。

例外のケース

ここからは例外として注意すべきポイントを2つ説明します。

  1. 法定休日を跨ぐ場合
    「法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって,法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払を要する休日労働時間となる。」とされています(平成6年5月31日基発331号)。
    例えば日曜日(法定休日)の夜から月曜日の朝まで勤務した場合、日曜日の午後12時(すなわち月曜日の午前0時)までは休日の割増となり、月曜日の午前0時からは平日の扱いとなる訳です(もちろん8時間超の場合は25%以上の割増賃金が発生しますし、深夜勤務の割増も必要です)。
  2. 残業が翌日の所定労働時間の開始時刻を超えた場合
    「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して,法第37条割増賃金を支払えば法第37条の違反にならない。」とされています(平成11年3月31日基発168号)。
    つまり、深夜残業が翌日の所定労働時間の開始時刻を超えた場合、その開始時刻までが前日の残業時間となり、開始時刻以降は翌日の勤務として扱われます。

この辺りは具体的な例を出してどのように計算するのかを見た方が良いと思いますので、次回は具体例を示して解説して行きます。

今週の振り返り
  • 深夜労働には通常の賃金に25%以上の追加の割増賃金が必要。
  • 日を跨ぐ勤務は原則1勤務として扱う。
  • 法定休日の割増賃金は午前0時〜午後12時の労働が対象。
  • 残業が翌日の所定労働時間の開始時刻を過ぎたら、そこからは翌日の勤務扱い。

それでは、今週のニュースPickupをどうぞ!

厚生労働省
全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました
~答申での全国加重平均額は昨年度から51円引上げの1,055円~(8/29)

47都道府県で、50円~84円の引上げ(引上げ額が84円は1県、59円は2県、58円は1県、57円は1県、56円は3県、55円は7県、54円は3県、53円は1県、52円は2県、51円は6県、50円は20都道府県)
改定額の全国加重平均額は1,055円(昨年度1,004円)
全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
最高額(1,163円)に対する最低額(951円)の比率は、81.8%(昨年度は80.2%。なお、この比率は10年連続の改善)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42150.html

令和6年版 労働経済の分析」を公表します
~分析テーマは「人手不足への対応」~(9/6)

今回の白書では、「人手不足への対応」をテーマとして分析を行いました。第Ⅰ部では、2023年の雇用情勢や賃金、経済等の動きをまとめています。また、第Ⅱ部では、我が国の人手不足の動向やその背景を分析し、人手不足への対応に向けた方向性等を示しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43038.html

弁護士ドットコムニュース
職場に「男女別の休養室」ありますか? 50年ぶり法改正、3年前から設置が義務化(8/31)

3年前から、職場における労働衛生基準が変わり、現在は常時50人以上、あるいは常時女性が30人以上の労働者を使用する事業者は、「休養室」または「休養所」を男性用と女性用に区別して設ける必要があるとされています。
https://www.bengo4.com/c_5/n_17877/

多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)
多様な働き方の実現応援サイトメールマガジン令和6年9月号を配信しました。(9/2)
  1. 2024年10月から、社会保険の適用が拡大されます
  2. 「勤務間インターバル制度導入促進シンポジウム(オンライン)」を開催します
  3. 育児・介護休業法等が改正されました~令和7年4月1日から段階的に施行~
  4. 2024(令和6)年度両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)のご案内

https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/mail_magazine/backnumber_r0609.html

国税庁
「令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」を更新しました(8/30)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/0024004-072_01.pdf

経済産業省
令和6年台風第10号に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います【第3報】(9/2)

神奈川県、岐阜県及び愛知県の31市町村に災害救助法が適用されたことを受け、支援措置の対象地域を第2報から追加いたしました。
経済産業省は、令和6年台風第10号に伴う災害に関して、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、福岡県、大分県、宮崎県及び鹿児島県188市町村に災害救助法が適用されたことを踏まえ、被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います。
https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240902004/20240902004.html

経団連
2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(8/30)

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/058.pdf

週刊経団連タイムス2024年9月5日 No.3650(9/5)

https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2024/#d20240905

愛知県
県内の企業における2024年夏季一時金要求・妥結状況調査結果をお知らせします(9/2)
  • 平均妥結額 :987,645円 【前年比】53,830円増 5.8%増
  • 平均妥結月数: 2.99か月 【前年比】0.13か月増

https://www.pref.aichi.jp/press-release/2024kaki.html

ITmedia ビジネスオンライン
九州電力、育休カバーの社員に応援金支給 10人の職場で「年間12万円」(9/2)

九州電力は9月1日、育休を取得した社員が所属する職場の従業員に対して「育児サポート応援金」を支給する制度を開始した。出産・育児を好意的に支えていく企業風土の醸成が目的だとしている。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2409/02/news135.html

最低賃金をめぐって、なぜドタバタ劇を繰り返すのか(9/3)

最低賃金は令和3年から毎年「過去最高の引き上げ」の記録が塗り替えられ続けています。6年も7月25日に、中央審議会が前年+50円という「過去最高」の目安額を示しました。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2409/03/news145.html