ニュースPickup 2025年3月8日を掲載しました。

2024年12月14日

社会保険料が労使折半とされた経緯

皆さんご存知の通り、103万円の壁引き上げの議論が大きな話題となっています。同時に最近では社会保険に関する106万円の壁撤廃の議論も取り沙汰されていますね。

社会保険加入の要件は、

  • 従業員51人以上の企業などで働き
  • 所定内賃金が月額8万8000円以上=年額約106万円
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 学生でないこと

で、この年額106万円のことを106万円の壁と呼んでいるというわけです。

上記の内、企業規模と所定内賃金の要件を廃止しようという議論が、厚生労働省の社会保障審議会年金部会でなされています。
その内容について詳しくは下記の記事を見ていただくとして、そこで出された参考資料の中に興味深い記述を見つけましたので、ご紹介したいと思います。

それが、タイトルにある「社会保険料が労使折半とされた経緯」(資料1-27ページ〜)の部分です。少し文章が難解なのでまとめると、

被保険者が保険料を負担するのは、健康保険の受益者であり、相互救済の制度であるため。事業主が半分負担する理由は、労働環境が健康に影響を与え得ることと、健康維持が労働効率の向上につながるためである。

負担割合が二分の一になった理由は以下の通り。

1.数理的根拠

  • 業務上の費用は事業主全額(1/4 × 1)。
  • 業務外の費用は事業主1/3、被保険者2/3。
    計算式
  • 事業主:( 1/4 × 1 + 3/4 × 1/3 = 1/2 )
  • 被保険者:( 1/4 × 0 + 3/4 × 2/3 = 1/2 )

2.外国の例
当時、事業主と労働者が均等に負担する「二分の一負担主義」が主流であり、公平性を保つため保険運営の議決機関も双方から同数の代表を選出する仕組みが取られていたから。

面白いと思いませんか?
記載部分の後段で「この統計数理上の理由は、やや理屈の後付けの感が否めない。」ともあるように、結論ありきで美しい数式を捻り出した感もないわけではありませんが、保険料負担を労使で折半する裏付けの歴史的一端を見たような気がしますね。

それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!

厚生労働省
第23回社会保障審議会年金部会(12/10)

・被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について
・基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(マクロ経済スライドの調整期間の一致)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241210.html

労働基準関係法制研究会 第15回資料(12/10)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46833.html
※報告書の案が提示されています。

ITmedia ビジネスオンライン
定額減税の負担「大きかった」半数超 給与計算担当者は、どのような準備をしているのか(12/11)

6月に始まった「定額減税」の対応について、「負担が大きかった」と回答した担当者は半数を超えたことが、フリーウェイジャパン(東京都中央区)による調査で明らかになった。具体的にどのような対応の負担が大きかったのか。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2412/11/news115.html

「106万円の壁」は「週20時間の壁」に? 企業が取るべき対策は(12/13)

「106万円の壁」撤廃に向けた議論が注目を集めている。新しい方針で条件の一部が緩和されるが、中でも企業にとって「壁」になる得る条件が「労働時間が週20時間以上」という点だろう。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2412/13/news095.html

全国健康保険協会
加入手続き中の医療機関受診について(12/6)

加入手続き中に急な病気等で医療機関を受診する際は、資格証明書を年金事務所において発行しております。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r6-12/24120601/

【健康保険】令和7年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について(12/13)

令和7年度の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は、32万円となります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r6-12/61210_01/

経済産業省
人的資本経営に関する動画コンテンツを無料にて公開しています。(12/6)

令和6年、地域の中堅・中核企業のさらなる成長支援のため、新規事業展開等を支援する地域・テーマごとの支援プラットフォームを全国各地に立ち上げています(https://chiiki.platform.go.jp/)。
その取組の一環として、さらなる成長に向けた取組を促進するために「人的資本経営の要諦」を学ぶための動画を配信しています。
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/26270/

愛知県
「あいちワーク・ライフ・バランス推進運動2024」 賛同事業所の募集結果について(12/11)

「あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会」(事務局:愛知県)では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた気運醸成を図るため、年次有給休暇など休暇を取得しやすい職場環境づくりや定時退社等の取組を県内企業等に呼び掛け、賛同事業所を募集する「あいちワーク・ライフ・バランス推進運動2024」を実施しました(2024年7月1日発表済み。)。
その結果、昨年度を上回る延べ46,896事業所から御賛同をいただきましたので、お知らせします。
https://www.pref.aichi.jp/press-release/wlbaction2024-kekka.html

経団連
週間経団連タイムス2024年12月12日 No.3663(12/12)

「FUTURE DESIGN 2040」を公表 他
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2024/#d20241212