令和8年度最低賃金の目安が決定 最低賃金法のポイントも確認
7月28日に開催された第75回中央最低賃金審議会で、令和8年度の地域別最低賃金額改定の目安が示されました。引上げ額の目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円で、昨年度(全国加重平均66円)よりは抑えられたものの、依然として高い水準となっています。
今回の審議では、労働者側は「春闘では3年連続5%超の賃上げとなり、最低賃金もこの流れを維持すべき。物価高の中で働く人の生活を守るため、大幅な引上げが必要。」と主張した一方、使用者側は「価格転嫁が十分進まず、中小企業の負担は限界に近い。最低賃金法で考慮すべきとされている『通常の事業の賃金支払能力』をより重視すべきだ。」と慎重な姿勢を示しました。最終的には公益委員が双方の主張を踏まえた目安額を示し、これが答申となっています。
最低賃金は毎年話題になりますが、今回の議論はそもそも何を根拠に行われているのでしょうか。
その根拠となるのが「最低賃金法」です。この法律は、低賃金で働く労働者の賃金を保障し、労働条件の改善を図るとともに、労働者の生活の安定や公正な競争環境を確保し、国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
また、最低賃金法では、最低賃金を決定する際に「労働者の生計費」「労働者の賃金」「通常の事業の賃金支払能力」の3つの要素を総合的に考慮することが定められています。今回の審議でも、物価高や賃上げの流れを重視すべきとする労働者側と、中小企業の支払能力をより重視すべきとする使用者側との間で意見が分かれました。
最低賃金には、すべての労働者に適用される地域別最低賃金と、特定の事業または職業に適用される特定最低賃金があり、両方が適用される場合は高い方の最低賃金額が適用されます。
また、最低賃金を下回る賃金を定めた労働契約は、その部分が無効となり、最低賃金と同額の賃金を定めたものとみなされます。さらに、違反した使用者には内容に応じて罰則が設けられており、企業にとっては「努力目標」ではなく、必ず守らなければならないルールです。
今回示されたのはあくまでも目安です。今後は各都道府県最低賃金審議会で審議が行われ、各都道府県労働局長が最終的な最低賃金額を決定します。毎年の最低賃金改定は、企業の賃金水準や人件費にも影響する重要な改定です。各都道府県で示される最終的な最低賃金額にも注目していきましょう。
出典:厚生労働省|令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について(7/28)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
厚生労働省|10月1日施行のカスハラと求職者等セクハラの措置義務に関するQ&Aと、2026年4月24日付「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」等を掲載しました。(7/28)
10月1日から施行されるカスタマーハラスメント対策および求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置義務に関するQ&Aが公表されました。あわせて関係する施行通達も掲載され、参考にできる資料が追加されています。
🔎 今週の視点
施行まで残り約2か月となり、いよいよ具体的な対策の検討に入る時期となってきました。対策がまだの方は、本ページの概要リーフレットで全体像を確認した上で、Q&Aを読むことで、具体的なイメージを掴むことができるのではないでしょうか。
出典:厚生労働省|10月1日施行のカスハラと求職者等セクハラの措置義務に関するQ&Aと、2026年4月24日付「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」等を掲載しました。(2026/7/28)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
厚生労働省|令和8年度「全国労働衛生週間」を10月に実施(7/31)
厚生労働省は、令和8年度全国労働衛生週間を10月1日から7日まで実施すると発表しました。今年のスローガンも公表され、9月を準備期間として職場における自主的な労働衛生活動の推進を呼び掛けています。
🔎 今週の視点
今年のスローガンは「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」です。熱中症対策の義務化やメンタルヘルス対策など、安全衛生を取り巻く環境は年々重要性が高まっています。労働衛生週間をきっかけに、安全衛生委員会での議題や職場巡視、健康づくりの取組などを改めて確認してみるのもよいのではないでしょうか。
出典:厚生労働省|令和8年度「全国労働衛生週間」を10月に実施(2026/7/31)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74929.html
厚生労働省|令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について(7/31)
雇用保険の基本手当日額などが、令和8年8月1日から改定されます。毎月勤労統計調査の平均給与額の変動などを踏まえ、基本手当日額の上限額や下限額などが見直されました。
🔎 今週の視点
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)のほか、高年齢雇用継続給付・介護休業給付・育児休業等給付についても、支給限度額が変更になります。特に高年齢雇用継続給付はその月の賃金によっては限度額に近い状況もありますので、注意が必要ですね。
出典:厚生労働省|令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について(2026/7/31)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00050.html
多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|「多様な正社員」制度導入支援(無料)のご案内のリーフレットを更新しました。(7/29)
厚生労働省は、「多様な正社員」制度の導入を検討する企業向けに実施している無料支援事業のリーフレットを更新しました。制度設計や就業規則の見直しなどについて、専門家による支援を受けることができます。
🔎 今週の視点
勤務地限定や職務限定などの「多様な正社員制度」は、パート従業員から転換した社員のモチベーションや定着率の向上につながる可能性があります。一方で、制度設計を誤ると運用が複雑になることもあります。無料の専門家支援を活用しながら、自社に合った制度を検討してみるのもよいのではないでしょうか。
出典:多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|「多様な正社員」制度導入支援(無料)のご案内のリーフレットを更新しました。(2026/7/29)
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/tayou/pdf/tayou_support_leaf.pdf?20260724
ITmedia ビジネスオンライン|「寝ていない自慢」の上司が職場を壊す――睡眠不足という感染症と「3つの行動管理」(7/27)
経営層や管理職の慢性的な睡眠不足は、自覚しないまま判断力や集中力を低下させ、組織全体にも悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。睡眠を「測る・直す・守る」という行動管理の重要性について解説した記事です。
🔎 今週の視点
「忙しい=頑張っている」という価値観は、今でも職場に残っているかもしれません。しかし、睡眠不足による判断ミスや生産性の低下は、経営上のリスクにもつながります。管理職自身が健康管理を実践することも、健全な職場づくりの一歩になるのではないでしょうか。
出典:ITmedia ビジネスオンライン|「寝ていない自慢」の上司が職場を壊す――睡眠不足という感染症と「3つの行動管理」(2026/7/27)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2607/27/news037.html

