令和8年版厚生労働白書
9月29日、厚生労働省から今年の「厚生労働白書」が公表されました。
厚生労働白書は例年2部構成となっており、第1部ではその年ごとにテーマを設定して現状や課題、関連する施策などを取り上げ、第2部では「年次行政報告」として、厚生労働行政のさまざまな政策課題への対応がまとめられています。今回の第1部のテーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」です。
白書では、人口減少や少子高齢化が進む中、2040年に向けて医療・介護・福祉の需要が増加・多様化する一方、それを支える担い手の確保が難しくなることが大きな課題として示されています。こうした状況に対応するため、処遇改善や職場環境の改善、働き方改革、外国人材の受入れなどに加え、テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上の具体的な取組みも紹介されています。
2040年というと、まだ14年も先の話ですから、少し遠い未来のようにも感じます。しかし、人材不足への対応や業務の効率化は、すでに多くの職場で目の前の課題です。特に医療・介護・福祉は、人が人にサービスを提供する労働集約性の高い分野です。そのため、テクノロジーによる進化も、工場のように単純に人の作業を機械に置き換えるわけにはいかないケースも多くなってきますね。記録や見守り、情報共有などをテクノロジーに担ってもらい、そこで生まれた時間や労力をケアや支援に振り向ける。これが、医療・介護・福祉におけるテクノロジー活用の一つの方向なのかもしれません。
白書全体を読み進めるのは、なかなか大変な作業かもしれませんが、これからの労働関係のトレンドや方向性を知るうえでは参考になる内容です。時間のあるときに、じっくり読んでみるのもよいかもしれません。
出典:厚生労働省|「令和8年版厚生労働白書」を公表します(2026/9/29)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75936.html
それでは今週のニュースPickupをどうぞ!!
厚生労働省|「令和8年版 労働経済の分析」を公表します ~分析テーマは「AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題」~(9/29)
厚生労働省は、「令和8年版 労働経済の分析」を公表しました。今回のテーマは「AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題」。AIが雇用や労働需要に与える影響や、人材育成、労働移動などについて分析し、今後の労働市場における課題と対応の方向性を示しています。
🔍 今週の視点:
AIの話になると、どうしても仕事を取られるのではないかという点に目が向きがちですが、白書ではAIが大きな雇用減少をもたらしている証左は確認されていないとされています。また、「メタスキル」の向上が重要とあります。「メタスキル」とは論理的思考力や批判的思考力、コミュニケーション能力など、特定の業務だけに依存しない能力のことです。AIを導入するかどうかだけでなく、AIを使う人にどんな力を身につけてもらうかも今後の重要なテーマになりそうですね。
出典:厚生労働省|「令和8年版 労働経済の分析」を公表します ~分析テーマは「AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題」~(2026/9/29)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75700.html
厚生労働省|厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について(9/29)
厚生労働省は、2026年10月から実施される主な制度変更を公表しました。雇用・労働関係では、企業へのカスタマーハラスメント対策等の義務化、同一労働同一賃金ガイドライン等の改正、最低賃金の改定などが行われています。
🔍 今週の視点:
10月に実施される制度変更がまとめられていてとても使いやすいです。このページを一覧して、自社に関係のある部分の対応漏れがないか、今一度確認することをお勧めします。
出典:厚生労働省|厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について(2026/9/29)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76324.html
多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|同一労働同一賃金ガイドライン等の改正により、法対応チェックツールを更新しました。(10/1)
厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」で、同一労働同一賃金ガイドライン等の改正を受け、法対応チェックツールが更新されました。パートタイム・有期雇用労働者に関する待遇について、自社の対応状況を確認するためのツールとして案内されています。
🔍 今週の視点:
チェックしたいパートタイム労働者・有期雇用労働者と、比較する正社員の給与や教育訓練などを入力していくと、対応状況を診断してPDFに出力することができます。待遇改善へのアドバイスも見られるので、定期的にチェックすると良いかも知れません。
出典:多様な働き方の実現応援サイト(厚生労働省)|同一労働同一賃金ガイドライン等の改正により、法対応チェックツールを更新しました。(2026/10/1)
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/shindan2/
日本年金機構|2026(令和8)年10月から、健康保険・厚生年金保険の保険料調整制度が始まりました(10/1)
2026年10月から、健康保険・厚生年金保険の「保険料調整制度」が始まりました。新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者について、事業主が保険料を一時的に一部負担することで、対象となる従業員の保険料負担を通算3年間軽減できる制度です。
🔍 今週の視点:
今回の制度で少し分かりにくいのは、どの事業所が利用できるのかが複雑な点です。時期によっても対象の事業所が変わってきますので、自分の会社が対象になるのか、なるとしたらいつから対象になるのかの確認が必要ですね。
出典:日本年金機構|2026(令和8)年10月から、健康保険・厚生年金保険の保険料調整制度が始まりました(2026/10/1)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/jigyosho/2026/202610/100103.html
日本年金機構|2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました(10/1)
2026年10月1日から、短時間労働者が健康保険・厚生年金保険に加入する際の要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という「賃金要件」が撤廃されました。今後は、労働時間要件や企業規模要件など、その他の加入要件を確認する必要があります。
🔍 今週の視点:
これまで短時間労働者の社会保険加入要件である、
- 賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上であること)
- 労働時間要件(週の所定労働時間が20時間以上であること)
- 企業規模要件(勤め先が従業員数51人以上の企業であること)
- 学生ではないこと
のうちの1.賃金要件が撤廃されました。最低賃金の引上げによって、すでに月額8.8万円以上となっている人も多いとは思いますが、該当者がいる場合には、早急な対応が必要ですね。
出典:日本年金機構|2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました(2026/10/1)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/jigyosho/2026/202610/100104.html

